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「こんにちは。聞こえますか?」
システムに話しかけた僕の言葉。そしてレスポンスも良く返答があった。
「聞こえてます。皆さんありがとう。これからもよろしくお願いします」
完璧だ。妻の声できちんと答えている。僕たちは時代を超える発明を成し遂げた。
「俺も話して良いですか?」「私もお願いします!」「順番守れ」
研究員が次々と話し始める。
「これはみんなのおかげだ」
「そんなことはありませんよ。主任の基本プログラムと指示がなかったらできませんでしたよ」
嬉しいことを話してくれる。
「まだテスト段階だ。みんなのパソコンでシステムに話しかけて、より学習を重ねよう」
完成したと言えどまだ運用段階ではなかった。様々な会話を試みて、より人間らしくしなければならない。
「難し過ぎる質問には答えられないようなロジックを組んでも良いかもしれませんね!」
「そうだな。あくまで人間と同等の知識レベルじゃないと」
「返答語句も年齢で絞り込みしないと、若者言葉使われても困るな」
「あくまで対話なんだから自分たちと合わないと」
今完成したところなのに研究員たちはさらなるアップデートを思いついていた。
それからは運用に向けての試験が進められた。
研究員たちが様々な話をして、システムの返答に相応しいものを選定する。
楽しかった。未来の技術を試せてることが、そして妻と話していることが。
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