記憶

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 目の前にグラスが置かれた。濃い水色の美しい液体に微かな波紋が立っている。どうぞ、とマスターがこちらへ差し出した。 「ありがとうございます」  静かに答えて口を付ける。僅かな甘みと鼻の奥に抜ける清涼感。美味い。 「いつものことながら、お見事です」  俺の言葉にマスターは軽く一礼をした。渋くて格好いい。こういう歳の取り方をしたいものだ。 「田中さん、今日はお早いのですね」  店が空いているためか、マスターが話を続けた。そうなんです、と俺も穏やかに応じる。 「さっさと家に帰ろうかとも思ったんですけど、お店の方がお酒もツマミも美味しいじゃないですか。それに、家で一人で飲んでいるとついつい飲み過ぎちゃうんです。気が付いたら床に引っ繰り返っていたりして、いつ寝たのかも覚えていない」 「お酒はほどほどになさって下さい。私が言うのもなんですが」  マスターの冗談に吹き出す。確かに、バーで働いている人が言うことではない。サラミとチーズの乗った小皿が置かれる。美味いんだよなぁ、これ。一緒に食べるとサラミの塩気とチーズのまろやかさが丁度良いバランスを奏でるのだ。早速口に運ぶ。うん、これこれ。そしてお酒を流し込む。あぁ、本当に美味い。頭の中で血流が早くなるのを感じた。早くも酔いが回って来たか。いや、いくら何でも早過ぎる。プラシーボ効果ってやつかな。  カウンターの隅に座った男が、すみません、と手を上げた。何度かこの店で見たことがあるような、無いような。常連さんであるような、無いような。駄目だ、わからない。まあいいや。他人がこの店に通いつめようが何をしようが俺には関係ない。のんびり酒が飲めればそれでいい。そもそも人の顔を覚えるのが苦手なのに話したことの無い客について覚えているわけがない。無駄な思考。余裕があるから考えられること。この時間、好き。  ごゆっくり、と言い残しマスターは男の方へ向かった。ぼんやりとツマミを食べ、お酒を飲む。徐々に何も考えなくなる。頭を使わない時間は大切だ。仕事で疲れた心と脳みそはしっかり休ませなければいけない。そのためにはお酒が手っ取り早い。嫌なこと、腹の立つこと、傷付いたこと。そういう負の感情を全部忘れられる。勿論、消えて無くなるわけではない。一晩経って素面に戻ればすぐに思い出してしまう。それでも、例え一時であっても、忘れられるのは救いだ。だから今夜も俺はお酒を飲む。  あれ、という声が後ろから聞こえた。俺には関係無いだろう。そう思い気にも留めずグラスを手に取る。すると遠慮がちに肩を叩かれた。流石に振り返る。そこには一人の女性が立っていた。マスクで顔の大半が隠れている。彼女はじっと俺を見詰めた。誰だ。俺に何の用だ。 「田中君?」  名前を呼ばれて反射的に頷く。やっぱりそうだ、と彼女は目を細めた。 「久し振りだね。こんなところで偶然会うなんて、びっくり」  その子は弾んだ声を上げた。迷いなく俺の隣へ座る。流れるようにマスターへハイボールを頼んだ。俺の方を向き、ん、と目を丸くする。 「もしかして、私が誰だかわからない? あ、そっか。マスクをしているからだね」  そう言って彼女はマスクを取った。小さな口と通った鼻筋、細い顎が露になる。随分小さい顔。 「これでわかるでしょ。ね」  彼女が小首を傾げる。俺が言葉を発しようとした時、ハイボールが届いた。ジョッキを持ち、こちらへ差し出す。 「久々の再会に、乾杯」  グラスを合わせ、乾杯、と呟いた。 「それにしても何年ぶりだろうね。田中君、見た目は全然変わっていないなぁ。元気だった?」 「元気元気。そっちは?」 「あんまりかな。昔は毎日楽しかったのに、今はくたびれるばっかりだよ。得る物も無いし」 「そっか。まあ社会人になると色々大変だよね」  他愛もない話。穏やかな、大人の時間。だけど俺の心臓は早鐘を打っていた。旧友と思しき女性から声を掛けられた。場所はお洒落なバー。そんなところで緊張しているなんて、理由は一つしか無いと人は言うだろう。だけど違う。俺がドキドキしている理由はそこじゃない。そんな、浮ついた話ではない。  この人、誰だっけ。  誰だこの美女。全く記憶に無い。いや、薄らと、何となく、見覚えがある感じはする。なんなら物凄く俺の好きな顔立ちをしていらっしゃる。それなのに思い出せない。どこの誰だか思い出そうとしても全然心当たりが無い。向こうは開口一番に俺の名前を呼んでいるので確実に俺を知っている。同級生か、それとも職場の知り合いか。だけど本当に微塵もアタリが付けられない。実は話し掛けられた時点で、素直に伝えるつもりだった。ごめんなさい、どちら様でしょうか、ちょっと思い出せなくて、と。それで相手を怒らせるようなことがあったとしても、下手に取り繕わずきちんと白状した方が良いのだ。顔の覚えられない者なりの経験則である。だけどマスクを外して、これでわかるでしょ、と言われてまず出鼻を挫かれた。それでもまだ切り出そうとはしたのだが、よりによって爆速でマスターが酒を持って来た。おかげであっという間に乾杯となってしまった。久々の再会に乾杯、なんてグラスを合わせておきながら、実は覚えていませんでしたーいやぁごめんごめん、などと言えるか。こうなっては話を合わせつつ記憶の海に沈んだ彼女を何とか引き揚げるしか道はない。はたして出来るのか、既に酔いが回りつつあるこの脳みそで。自信は無い。ましてや最近酒の飲み過ぎのせいか物忘れも激しくなって来た。それでも目の前に彼女は座っている。四の五の言っても、とにかく思い出すしかない。 「田中君は何の仕事をしているの?」  俺の心中などいざ知らず、彼女は話を続けた。 「小さい会社で財務の仕事をしているよ。毎日数字とにらめっこ」  素知らぬ顔で受け答えをし、並行して懸命に推理をする。俺の仕事を知らないということは、社会人になってから出会った人ではなさそうだ。大学から幼稚園生の間に知り合った人。やはり同級生か。もしくはバイト先の人とか。 「数学、嫌いだったのにね。高二の時に赤点を取って、補習まで受けさせられていたじゃない」  ありがとう、忘れちゃった君。おかげで同じ高校に通っていたことが判明した。大分絞り込まれたぞ。この調子でいけば遠からず思い出せるに違いない。しかし俺が補習を受けていたと知っている人など限られている。吹聴する話では無いから。では彼女とはかなり親しい間柄だったのか。顔が好みで関係性も良好とな。何故彼女のことを忘れてしまったのだろう。 「数字を入力すればパソコンが勝手に計算してくれるからね。電卓を叩いていた頃に比べればかなり楽をさせてもらっていると思うよ」 「そういうものなんだ。でもやっぱり意外だよ、君が数字を扱う仕事をしているなんてさ」  俺はよっぽど数字が駄目な奴と彼女に認識されているらしい。だが更に絞り込めた。高校で知り合った人じゃないだろうか。何故なら中学までの俺は数学にそこまで苦戦をしていなかったから。数A、Bに俺の数学能力は敗北した。文系の脳では対処しきれなかった。逆に、中学までは何とかなっていたのだ。そのことを知らないから、彼女は俺が致命的に数字を苦手だと思っている。順調だ。高校時代の友達ね。目の前の彼女に脳内で母校の制服を着せてみる。うーん、全然ピンと来ない。むしろ何だろう、罪悪感のようなものを感じる。いや、ちょっと違う。禁忌に手を出しているような、血の繋がっている相手といちゃつくような、そんな後ろめたさが確かにある。どういうことだ。その感情を振り払おうとグラスを傾ける。 「だけど営業とかよりは向いているかも。ほら、田中君って人の顔を覚えるのも苦手だったじゃん」  急に核心を突かれて酒を吹きそうになった。堪え切れず少し口の端から零れる。どうしたの、と彼女は目を丸くした。 「よく覚えているなってびっくりした。顔を覚えるのが苦手だなんて、ほとんどの人に教えていないから」 「中二になる時、クラス替えがあって困っていたものね。折角クラスメイトの顔を覚えたのに、また三分の二は知らない人になっちゃった。覚え直さなきゃ。そう言って半泣きになっていたのが印象的だったよ」 「俺、そんなことまで君に曝け出していた?」  思わず疑問が口を突いて出る。そこまで自分をオープンにする相手なんて人生において二人くらいしか心当たりは無い。そして彼女はその二人に含まれていない。そもそも誰なのかも思い出せないような人なのだ。俺がそこまで内面を吐露するわけがない。  だけど彼女の語った過去は確かにあった。一年近くかかってやっとクラスメイトの顔と名前が一致したのに、クラス替えなんざやるもんだからまた覚え直す羽目になった。顔面認識能力の低い人間に対する嫌がらせかよとひどく腹が立った。心の中で頭を抱える。そのことを知っているのならば、話したのだ。俺は彼女に、困ったな、と。そして、中学も一緒だったのか。中高一緒で、俺が内面を話すほど親しく、とても顔が好みだけど性的な目で見るのは忌避したい相手。  君は、誰だ。 「言った言った。怒っていたねぇ。顔面認識能力の低い人間に対する嫌がらせかよ、とまで吐き捨てていたもの」  最早焦りを超えて絶望すら覚える。何で知っているんだ。本当に話したのか? 俺が? 話したんだろうなぁ。話さなきゃ知っているわけないもんなぁ。泣きそうになる。本当に貴女はどちら様なのですか。最初に聞いておきたかったです。そうしたらもっと美味しくお酒をいただいて、楽しい時間を満喫出来たはずだ。 「怒っていたと言えば、小学生の時に大爆発したことがあったね。覚えている?」  覚えているよ。覚えていないのは君が誰なのかだけ。酒が回ってきたのか、諦めすら感じた。最早小学校が同じと聞いても、そうですか、しか感想が出て来ない。 「運動会のクラス対抗リレーでアンカーをやらされそうになった時でしょ。俺はメンバーにギリギリで引っ掛かる足の速さだったから、逆に最後を走らされそうになった」 「もしアンカーで順位を下げちゃったら、田中の走力では仕方がなかったってクラスメイトは諦めつつ君に責任を押し付けられる。一位でゴール出来たら一緒に喜べばいいだけ。なかなかよく考えるよね、小学生もさ」 「そんな理由でアンカーを走りたくない、って尋常じゃなくブチギレちゃったんだよな。机を引っ繰り返して、椅子を蹴っ飛ばして、当然先生に怒られて。子供ながらに思うところがあったんだろうけど、それにしたって怒りすぎだろ」 「結果、リレーのメンバーからも外されたし、クラスではしばらく浮いちゃったね。田中が怒るとやばいぞって。だけどおかげで白野さんから告白されたじゃん。はっきり断る姿が格好良かったって言ってくれたもんね」  その言葉に口を噤む。流石に返答が出て来ない。驚きも呆れも無い。ただただ恐怖を感じた。だって、告白の現場には確かに白野さんと俺しかいなかった。放課後の教室、掃除当番を終えた後。俺は皆と帰るのが嫌で、無意味に黒板消しをクリーナーにかけていた。教室には白野さんだけが残っており、彼女はゆっくりと帰り支度をしていた。白野さんは物静かでクラスでも目立たない子だった。クラスメイトはリレーの件で必要以上に怒りをぶちまけた俺に対して冷ややかに接するようになっていたけれど、白野さんは変わらず穏やかな笑みを浮かべて話し掛けてくれた。周りの女子が、田中はヤバイよと彼女に忠告しても、大丈夫だよ、と微笑みを返していた。いい人だな、と思っていた。だから彼女に迷惑を掛けたくなくて、優しく接してくれるとわかっていても必要以上に話し掛けたりはしなかった。その日も、じゃあね、と挨拶をして教室を出ようとしたのだが。  田中君、と引き止められた。誰もいない、二人きりの教室で。俺は、彼女から。 「白野さん、元気にしているのかな。転校して以来、半年位は文通をしていたけれど気が付いたら音沙汰が無くなってしまったね。今は何処で何をしているのかな」  背筋が寒くなる。彼女が転校した後、文通をしていたことは俺と彼女しか知らない。或いはこいつに白野さんから教えたのだろうか。それなら白野さんが俺に告白した過去を知っていてもおかしくはない。むしろそうでなければここまで色々俺について知っている理由の説明がつかない。 「まあ、彼女が元気なのかはともかくとして。あの時が唯一のモテ期だったんじゃない? 結局その後、色恋沙汰には無縁だったものね」 「よく知っているね」 「小学生の時が一番夢と希望に溢れていたのかな?」 「今は絶望しか感じないよ」  精一杯の軽口にも、目の前の女は薄い笑いを浮かべるだけ。整った顔立ちであるが故に不気味さも一層際立った。酒を飲み干す。同じの、とマスターへ叫ぶように注文をした。 「小中高大。俺の人生について随分詳しいじゃないか。どこから見ていたのさ」  嫌な気持ちを振り払うように捲し立てる。彼女が誰なのか思い出せない俺が悪い。そう思っていたけれど、明らかに彼女は俺について詳しすぎる。そして、そんなにずっと一緒にいた相手を覚えていないのは不自然すぎる。つまり彼女は一方的に俺を見ていた可能性が高い。悪いのは俺ではない。こいつの方ではないのか。 「君の傍で」  淀み無く彼女は答えた。 「傍って何処さ」  その質問には答えない。俺の前に追加の酒が置かれる。すぐ手に取って飲み干した。マスターは黙って空いたグラスを二つ下げた。ねえ、と酒を一口飲んだ彼女が呟く。 「君は、自分の夢を覚えている?」 「さあね」 「嘘」  こちらを一瞥し、目を細めた。その柔らかい表情に、昂ぶっていた感情がやや落ち着きを取り戻す。彼女は歌うように言葉を紡いだ。 「小学生の時は新幹線の運転手。中学では小説家。高校ではドラマー。大学では、何だっけ」 「社長になって金持ちになる、だよ。だから俺は就活を頑張った」 「そうだった。その辺からうろ覚えだよ。そして社会人になってからの君はほとんど覚えていない。夢も希望も無い。あるのは仕事のストレスとお酒だけ。記憶を無くしてばかりだね。社長になるって夢も何処かへ落としちゃった」 「現実を見たからね」  どういうわけか恐怖は急速に収まっていた。酔ったせいもあるだろう。ただ、彼女が俺を知っていて当然のような物言いをするので、そういうこともあるのかも知れないと理由も無く納得しかけていた。うん、確かに酔っている。さっきまで、恐怖と疑問に苛まれていたのだ。その反応が正しいはず。  さて、と彼女は腰を浮かせた。高い椅子からふわりと床に降り立つ。 「そろそろ帰るね。君も酔ってきたようだし。奢って貰って良い? お話代ってことでさ」  返事を待たずに彼女は出口へ向かった。その歩き方。後ろ姿。確かに見覚えがある。だけどどうしても思い出せない。彼女の手が扉にかかる。そして、振り返ることなく店を後にした。 「マスター、すぐ戻るから」  鞄を椅子に置き、俺は店を飛び出した。地下の店から地上に繋がる階段を見上げる。彼女は既に最後の一段に足をかけていた。慌てて追い掛ける。消えかけた街灯の瞬く道端。他に人はいない。あの、と彼女に声をかけた。足が止まる。 「ごめん。俺、どうしても君が思い出せなくて。ずっと誤魔化しながら喋っていた。君が誰なのかわからないまま、話を合わせていた。君はこんなに俺のことを知っているのに、俺は君を覚えていないなんて、本当に申し訳ない。それに覚えているふりをしたのも卑怯だった。君は怒って当然だと思う。だから、ごめん」  勢い良く頭を下げる。見詰める地面に彼女の靴が現れた。顔を上げると優しい表情がそこにはあった。 「私が誰だか思い出せないの?」 「うん」  間近で見るその顔。見覚えがある。だけどやっぱり思い出せない。 「君は、誰?」  その問いに、彼女は白い歯を見せた。俺の両肩に手を置く。 「私はね。君の記憶だよ」  突拍子もない答えを聞き、だけど唐突に合点がいった。そうだ。この顔は、俺が好きになった人達のパーツだ。目は白野さん。鼻筋は阿子木さん。口元は能義野さん。そして表情は小林さん。どれも見覚えがあって、だけどこの顔そのものに覚えはない。  そして俺について全て知っていたのは、それこそ当然だったのだ。何故なら彼女は俺の記憶だから。酒を飲み始めた大学時代から少しずつあやふやになり、今はほとんど毎日記憶を失うまで飲んでいる。だから最近の話は全然しなかったのか。  俺の記憶である彼女が目の前で肩を竦める。 「まったく、いくら顔を覚えないからって少しはピンと来て欲しいものだよ」 「君ならわかるでしょ。俺がどれだけ人の顔を覚えないか」  だけど一時でも好きだった人達の物だから、こうして思い出すことが出来たのだ。我ながら、しつこくて業が深い。 「え、でも何で君はここにいるの?」  俺の質問に唇を尖らせる。 「今、自分で納得したでしょ。記憶を失うし最近の話は全然しないって。だから出てきたんだよ」 「どうして?」 「我ながら鈍いなぁ。酔っ払いは面倒だね。毎日私を忘れちゃうような自分に対して、いい加減文句の一つも言ってやらないと気が済まない。だけど自分は人見知りだから、いきなり出て行ったところで話を聞きやしないだろう。だから歴代の惚れた相手の姿を借りて現れた。そんなわけさ」 「姑息だなぁ」 「君だからね」  そうして記憶は俺の後頭部に手を回した。互いの額をぶつける。 「お酒を飲む気持ちはわかるよ。毎日辛いし悲しいもの。だけどさ、あんまり私を無くさないで。忘れられちゃうのは辛いんだよ」  彼女は一筋の涙を流した。それは俺の本心だ。 「わかった。あまり君を忘れすぎない。約束する」 「ありがとう。じゃあ、これからもまた、よろしくね。私」 「うん。末永くよろしくね、俺の記憶」  互いを強くハグする。彼女の、記憶の暖かさに目を瞑り、全身を委ねた。  気が付くと記憶はいなくなっていた。頭を掻き、店へ戻る。席に座ると、急にどうしました、とマスターが片方の眉を上げた。 「相方を追い掛けていたんだ。最近、忘れがちだったからね」 「相方? 今日もお一人でしょう。あまり飲み過ぎてはいけませんよ」  その言葉に肩を竦める。奇妙な体験をしてしまった。やれやれ。  さてと、と腕捲りをする。それはともかく明日は休みだ。気分転換に今日は飲むぞぉ。 「マスター。強めのカクテル、何か無い?」  瞬間、脳内で声が響いた。 「私との約束、もう忘れたの?」
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