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「おかしいと思います!」
長い一夜が明けて、翌朝の職員室。週末である。
話を聞いた瀬尾が声を荒げた。
「もう登校してるんでしょ?
丈二先生だけでも、すぐ謝りに行くべきです!」
「止められているんですよ。
この件は教頭先生に一任ということになりましてね」
結局、殿山の提案は無視されることとなった。畠山教頭の判断である。及川は最後まで反対したが、押し切られた形だ。
「一人ずつ行ける時の方が良いと思います。
だってまた……」
「決定事項なんです」
小渕沢は、難色を示す瀬尾を手で制した。
そこへ、事務員から児童の欠席が伝えられる。
「笹木 凛音さん、体調不良。了解しました」
「またですか?」
瀬尾が眉をひそめた。
「この問題、何か見落としがあるんじゃないかしら?
もっとちゃんと……」
「なに、週明けには元気に登校しますよ」
小渕沢は席を立ち、先に教室へ向かう。
後を歩いてくる瀬尾と及川は、何か話し合っているようであった。
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