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「禁止にするより手紙の書き方を学ぶ機会を作っては?
国語や道徳の授業で……」
出勤後の慌ただしい打ち合わせで瀬尾も意見を出したが、及川も小渕沢もそれぞれに
「今は時間がないわ」
「そんな暇ないでしょう。カリキュラムが追いつかない。
もう年度末なんですよ?」
と言って取り合ってもらえなかった。
まだ二年目の新米の意見など、一瞬で捻り潰されてしまう。
「みんな。及川先生が言ったこと、きちんと守りましょうね」
2組の教室に戻ってから、学年集会の振り返りが行われる。
学年としての決定事項なので、自分の意に反することでも伝えなければならない。
ぐるりと教室を見渡せば、子供たちは澄んだ目でこちらに注目している。
瀬尾の言葉を信じ、吸収しているのだ。
この可愛い子供たちと目を合わせる資格が自分にあるのか。
瀬尾は、罪悪感を飲み込んだ。
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