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「今、何してた? どうして答えられないんだ」
小渕沢が紙切れを突き出す。
折り紙が二枚。裏に何か書いてあるようだが、瀬尾の位置からは見えなかった。
「首を傾げてるだけじゃ分からないよ。
どうしてこんな物を写させたりしたの?」
「ちゃんと先生の目を見なさい」
及川からも厳しい声が飛ぶ。
「朝の学年集会で言ったばかりだろう!」
立たされているのは三人だが、叱責は主に千乃に向かっているようだ。
予鈴が鳴った。間もなく五限目が始まる。
それを潮に、葵と凛音は解放された。
及川は野次馬の児童たちを促しつつ教室へ戻っていき、瀬尾もそれに倣う。
廊下には頬を強張らせた千乃と、小渕沢が残った。
「ほら、みんな。前を見てね」
子供たちは五限目が始まっても廊下の方が気になるらしく、よそ見ばかりしている。
瀬尾は子供たちを宥め、授業に集中させるのに苦労した。
千乃への叱責は、五限目を半分過ぎるまで続いた。
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