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「念のため確認なんですが。
お母さんから見て、この手紙を写させたのはどちらだと思われますか?」
「……性格上、娘の可能性が高いと思いますが」
小渕沢は大きく頷いた。
「そうですね。子供の間には力関係がありますから」
「はあ……」
二人の力関係は千乃が上だ。
「どうです? 良い内容じゃないでしょう」
「そう……です、ね」
自分に向けられた折り紙を前に、千乃の母親は力なく首を傾げた。
「力が上の者が弱い者に、こうして手紙を書かせる。
葵さんの筆跡で誰かの手に渡ったら大変なことになります」
禁止されている手紙、しかも内容が良くない手紙を葵が出したことになってしまうからだ。
「そうですよね……あの」
千乃の母親がおずおずと切り出す。
「娘は先生の指摘を認めた、ということでしょうか?」
「いえ。何も答えないです」
「……」
小渕沢は眼鏡のブリッジを押し上げた。
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