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 「実咲は丈二なんかよりずっと素晴らしい教師だよ。  あの人は経験年数が多いだけだ」   「丈二先生がどうかしたの?」  「だって、丈二は子供の方を向いてないじゃないか」  瀬尾が隣を見遣ると、オリバーは眉をひそめていた。  彼はクラスを順に回って英語の授業を行い、授業を終えると休み時間を子供たちと過ごす。3年3組の様子を見て感じるところがあったのだろう。   「実咲はそのまま、今できることをやればいいんだ。  自信を持って」  「ありがとう、オリバー」  「まだ何か悩んでる?」  「別で引っかかってることはあるけどね。  でも、元気出た!」  瀬尾は笑顔を見せ、自分なりにできることを探してみようと気持ちを切り替えた。  「おでん、お待たせしましたー」    快活そうな店員がオーダーした品を運んでくる。
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