31人が本棚に入れています
本棚に追加
転
1)
「3年3組の笹木 凛音さん、欠席です。
体調不良ですって」
翌朝の職員室。
電話を受けた事務員が伝えに来た。
凛音といえば、昨日の昼休みに叱責された三人組のうちの一人である。
「昨日のことが関係してるのでは?」
瀬尾は胸騒ぎがした。
「体調不良と言ってるでしょう。
まだ寒いですからね」
「丈二先生。あの手紙、もう一度見せてもらえませんか。
私、気になることが……」
「瀬尾先生は2組の担任でしょう」
新人に難癖をつけられたと思ったのか、小渕沢の口調には棘があった。
しかし、瀬尾も今回は引き下がるわけにいかない。
「丈二先生、あのとき及川先生を呼びましたよね?
私も立ち会いました」
及川が困ったような顔で瀬尾と小渕沢を見比べる。
「最後まで学年で共有すべきだと思いますが」
「もう終わった話です。
朝の会に遅れますよ」
小渕沢は、瀬尾の訴えに耳を貸すことなくに席を立った。
最初のコメントを投稿しよう!