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 終わってはいない。  終わらせてはいけないのだ。    しかし、千乃たちは自分の受け持ちではない。  彼女たちに話を聞くことも、家族に連絡を取ることも許されない。  瀬尾は焦りを覚えた。  疑問を解消するには、もう一度あの折り紙を見なければ始まらないのに。  「自分ができることを」。  これを実行することの難しさを、瀬尾は早くも感じ始めていた。  「どうしたの?  あんなこと言うなんて珍しいじゃない」  隣に座っていた及川に肩を叩かれた。  及川なら分かってくれるかもしれない。でも。  「気になることがあるなら、放課後に時間取るわ。  取り敢えず行きましょ」  今は時間が無さすぎる。  瀬尾は居ても立っても居られない衝動を抑え込みながら、及川とともに教室へ向かった。  
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