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瀬尾の背後にオリバーが立っている。
「君には関係ないだろう! 何で……」
気色ばんだ小渕沢が、オリバーから瀬尾に目を移した。その視線は、次第に不審の色を濃くしていく。
反射的に目を逸らしてから、瀬尾は「しまった」と思った。
これでは、自分があの件をオリバーに話したと白状しているようなものだ。
挙動不審になったのは、居酒屋の店員に彼とカップルだと間違われたことも少なからず影響していた。
「これだけ騒いでおいて無関係なワケないだろう!
丸聞こえなんだよ!」
瀬尾の心中を知ってか知らずか、オリバーが小渕沢の無言の詮索を断ち切る。
「あなたは、いつも威圧的なんだ!
そんなヤツがズカズカ近寄って来たら逃げたくもなるよ!」
「君は……敬語の勉強でもしたらどうだ!?」
「あなたのために使うケイゴなんて知りたくもないね!」
「何を!?」
及川が頭を抱えて叫んだ。
「あーもう!
うるさいわね、この忙しい時に!!」
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