夜に想う

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夜に想う

君は『頑張って』だけを言う 僕も『頑張れよ』と伝えるだけ SNSで返信できるけど 声が聞きたくて 口を開く 口を開ける 口から声を出す 小さい小さい小さい彼女の声と 小さい小さい小さい僕の声が響き渡る玄関先 誰も聞いてくれなくてもいいほどの茶番劇 シュールな劇の演者だったことを知らなかった 四年前の寒い春先の夜 君は『じゃあね』だけを返信した 僕も『じゃあね』を返信した SNSで終わってしまった関係 声は聞きたくない マンガじゃない アニメじゃない ソングじゃない 映画じゃない バッドエンドで終わってしまっても 心に澱みは感じず しこりも感じない あっけらかんに終わってしまったけど 明日の仕事のことで精一杯だ すぐにスマホを閉じる 今の時刻は 深夜に差し掛かった頃  クーラーは25度の冷房 関係はこじれていないのに解消した 関係はぎくしゃくしてないのに壊滅した こうして 一人になった ならざるを得ない一人に 一つの道が二股に割れたようだ そのようだ 彼女のこれからの道のりは知らんけど また 聞きたいな  小さい小さい小さい声で 今度会えたら 小さい小さい小さい声で この世間は狭いから すぐ会うけど けど また また けど また また まだ未練が残っていた僕だ
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