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 家族とはなにか。ありきたりな問いに対して血の繋がりと答えるほど冷めても夢見がちでもなかった。しいて言うなら、重ねてきたものが多いほど家族に近づくのだと思う。長い時間の中で共に喜び、ときに悲しみ苦しみ、そうやって同じものを増やしていくことで、ただ関係性をあらわす言葉から心の繋がりに意味を変えていく。僕らにとっての同じものとは、まぎれもなく兄だった。  明日から少しずつ家の中がさっぱりとしていくのだろう。そしてそれと同じようにお父さんも僕らのことをすべてなかったことにしようとしているのかもしれない。そんな気がした。でも僕はまだ。腕に力をこめて、祈るように布団を強く抱きしめる。届くわけがないのに、すがらずにはいられなかった。  どうかこれからも、僕らを繋いでいてください。家族のままでいさせてください。どうか、どうか。  よろしくお願いします、兄さん――。
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