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千幡が生まれてから四か月後。
頼朝は、千幡を、嬉しげに自ら抱き上げて家臣一同の前で言った。
「儂は、この子が可愛くて可愛くて仕方がないのじゃ。儂が歳をとって生まれた末っ子ゆえ、儂もこの子のためにも長生きしたいと思うが。皆々もどうか、心を一つにして、千幡の行く末を見守ってやってくれよ。ささ、この子を抱いてやっておくれ」
家臣達は、恭しく頭を下げながら、恐る恐る千幡を順に抱っこしていく。
再び自分の腕の中に戻って来た千幡をあやしながら、頼朝は義時に自慢げに言った。
「千幡は、寝返りを打てるようになって、『とと』と言うたのだぞ!見てみよ!この徳の高い僧のような澄んだ瞳、賢げな顔つき。何もかも、儂にそっくりじゃ!」
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