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第二節巻狩り
建久四年、西暦一一九三年春。
昨年の暮れ、千幡の兄万寿は疱瘡にかかり、頼朝はひどく心配していたが。
幸いにも万寿はすぐに回復して、弓矢の鍛錬に勤しんでいた。頼朝はその様子を目を細めて見守っていた。
「おお、さすがは万寿、儂の子じゃ!なかなか上達しておるではないか。みごとじゃ!」
褒められた万寿は、嬉しそうな笑顔を父に見せた。
「にー」
まだ赤子の弟千幡も、叔父義時に抱っこされて歓声をあげながら、にこにこと笑顔を振りまきつつ、父と兄に手を振っていた。
「ときに、小四郎。体の方は大事ないのか」
この頃、義時も病にかかり、しばらく領地で療養していたのだが、回復して鎌倉に戻って来たばかりだった。
「御所様にもご心配をおかけいたしました。この度の巻狩りには支障はございませんので、ご安心くださいませ」
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