第一章愛し子 第一節千幡誕生

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第一章愛し子 第一節千幡誕生

 建久三年、西暦一一九二年、四月二日、大倉御所。  夫頼朝との間に第四子を懐妊した政子の着帯の儀が行われていた。 「苦しくはないか」 「はい」  頼朝は妻を気遣いながら、愛しそうにその腹部を撫でながら新しい命の音を聞こうとしていた。 「若かな。姫かな」 「どちらでもよろしゅうございますよ」  夫婦はにこやかに笑い合っている。    
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