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「デキナイんだよな…」
「…………デキナイ?」
「…拒否?」
「史華とヤれないからって別れたのか?」
少し苛立った声は蒼生センパイだったこともハッキリと思い出せる。
「ヤれる、ヤれない以前の問題」
「「「はっ?」」」
3人の声が揃い、友人の視線も私に突き刺さる。
「はぁ…まあさ、キスするだろ?」
ああああぁぁぁ…言うんだ…私は絶望感に襲われて小さく後退る。でも、このまま言葉を濁して何となく話が終了してくれないかという僅かな希望を胸に、耳をダンボにした。
「あれだけ一緒にいたら、だろうな」
「でも…その先は拒否られた?」
「16って…コワいのか…?」
「だからさ…それ以前の問題だって」
「ヤる以前のやること、ヒロ、ちゃんとやってるじゃん」
一瞬おかしな沈黙があったあと
「フミちゃんのキスは、ご挨拶キス以上にならない…デキないって」
丈裕くんの落胆の声が笑い声に包まれ、友人も笑いを堪えて私を見る。
「ヒロが下手くそなだけじゃない?」
また蒼生センパイの声がすると
「それ以前の問題なんだって。潔癖なところがあるのかな…舌を嫌がって唇をギュッと閉じてる…それ以上…ムリだよな…」
丈裕くんがさらに落胆の声を吐き出した。
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