4754人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
3年生の女子からすれ違いざまにイジワルなことを言われるくらいのことは、ちょくちょくあった。でも毎日でもないし、聞こえないフリでやり過ごせるくらいだった。
そのうち丈裕くんが何か言ったのか、イジワルも聞かなくなった。
帰り道のデートも、不意打ちの朝のお迎えも、初詣も…とても順調に付き合っていた私と丈裕くん。大勢の前では少しチャラっとしたところを見せる丈裕くんだけど、私と話をするときは落ち着いたお兄さんで、勉強のことも友達のことも、いつかやりたいことまで…二人でたくさん話をして笑った。
3学期は始業式に登校したあと、3年生の登校は試験だけになるねと話をしながら
“さむっ”
“寒いね”
と引っ付いて歩く帰り道で、チュッ…と…高校1年3学期の始業式帰りに私はファーストキスをした。
寒さを一気に忘れるほどドキドキして、顔と耳だけでなくマフラーで隠れた首までも真っ赤だと感じた。
翌日から3年生の授業はなく、このあとの受験のために学校で勉強したい生徒だけが登校していた。
丈裕くんはアルバイトの面接に行ったり、受験の終わっている友達と遊んだりしながらも、ほぼ毎日私のお迎えに来てくれた。そして毎回キスをする。
そしてそして…
最初のコメントを投稿しよう!