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「ヒロ、なんで別れたの?」
「うん?」
「マジそれ、な。史華とめっちゃ仲良くしてたじゃん」
「うん…」
「大学に行ったって問題ないだろ?」
「うん」
「行ってからダメだったら、それはそれだし…なんで?」
「うーん…ちょっとね」
「ちょっと、何?史華ちゃん、制服じゃなく私服じゃ大人っぽく見える美人だしさ」
卒業式の1週間前に3年生が登校して来た日…在校生はすでに試験休みに入って、修了式を残して実質春休みだった。でも卒業式に出る数人だけは登校していた。
私も、その“各クラス4名”に入っていたので渋々の嫌々ながら登校した。だってその10日ほど前に丈裕くんと別れるなんて思ってもいなかったから、卒業式に出る人に志願したんだもの。
渋々の登校を終えて帰ろうと友人と廊下を歩いていた時に聞こえてきた丈裕くんたち4人の声。大きな声ではないけれど、話題が自分だと気づくと逃げ出したくても足が動かない。
友人は、私が悪く言われないか聞いておこうと…そんなくらいの気持ちだっただろうけれど、私は彼女を引っ張って走り去りたかった。でも動けない。
「フミちゃん…大人っぽい美人だけど可愛いだろ?めっちゃいい子なんだよね…」
「だろ?」
「でもさ…」
ああああぁぁぁ…やめて、ヤメて…私は雫が落ちるかと思うほどの手汗をにゅるっと握りしめた。
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