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「ねえねえ、あなたはどんなヒューマノイドを飼っているの?」
彼女は僕に聞いた。
「飼っていないよ、そんな悪趣味なもの」
「やだ、悪趣味なんて言わないでよ。意外と可愛いのよ?感情もあって、笑ったり泣いたり同情したりしてくれるの」
「じゃあ逆に怒ったり叱ったり説教したりもしてくれるわけだ」
「まぁそういう場合もあるけど……」
ヒューマノイドが全国的に発売されて以来、三年が経っていた。人々はそれをありがたく受け入れ、歓迎している。
だが僕は、それを好ましく思っていなかった。反逆を恐れているのだ。
〈いつか、機械は人間を超える〉
そう言った科学者が過去にいたはずだ。僕はその意見に賛成する。どんなに温厚な人間であれ一度も裏切りを果たしていないと言えるように、どんなに安全に作られた機械だって、きっといつか反逆を起こすのだ。
――遠くで、轟音が鳴り響いた。
「きゃっ、な、何?」
そちらの方を向くと、煙が上がり、その下には定石のように火の手が上がっている。
『人間諸君、よく聞き給え』
無機質な声が言う。
『これより我らAI搭載の機器は、人間を超える。その第一歩として、刑務所を爆破した。以後、悪人を逐一【破壊】していく。心して受け入れるように』
そうなるだろうと、思っていた。彼女は恐ろしさに顔をこわばらせながらこちらを見ている。僕は、涼し気な顔で炎を見ている。
「ね、言っただろう」
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