4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
そう、落ちたのだ。私はそれを岸から見ていて、おばさん、いやお母さんの手を振り切って、その子を助けに湖に飛び込んだ。
絶対に助けなきゃ、今度こそは絶対に。
なぜだかそんな思いが身体中を駆け巡っていて、誰の言葉も聞こえなかった。
あの子を助けなければ。シホを、あの子を、シホを、今度こそきっと助けなければ。
無我夢中で伸ばした手は、そして今度こそ命をつかんだ。
子供を抱いて泳いで、なんとか岸にあげて、それから、それから──目の前が急に暗く冷たくなって、気がついた時にはもう、銀河鉄道の中に倒れていた。
「あ、あ、あ……!」
頭がぐちゃぐちゃになる。どうしていいかわからず、抱きしめてくれたシホの胸の中でわけのわからない涙をいっぱい流した。
「頑張ったね、ミサキ。だけどもう、充分だから」
「シホ、でも」
「あの子はミサキのおかげで助かった。私も、今はどこも苦しくないの。だからミサキももう苦しまないで」
最初のコメントを投稿しよう!