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「だったら私の気持ち、わかるはずでしょ」
シホは体全体でふんわりと、綻ぶように笑った。
「私はね、見ていたいの。私になったミサキじゃなくて、ここにいる、このミサキを見ていたいから」
「シホ……」
「私になんかならなくたっていい。カムパネルラになれなくたって。ミサキは、ミサキだからいいの。星が好きで、泣き虫で、人の痛みを余計に背負い込んじゃう。そんなミサキが、私は大好きだから」
「シホ」
「一緒だから。ミサキを好きな思いだけは、ずっと、ずうっと、永遠に一緒だから。いつだってミサキを見てる。だからお願い。お願いだよ、ミサキ」
もうすぐ泣き出しそうに掠れていくシホの声。
私は頷いた。強く何度も頷いた。
「私も大好き。大好きだよ、シホ。」
私は私に、ちゃんと戻る──それがシホの望みならば。
私たちは座席で頭と肩を寄せ合って、目を閉じた。そうして深い銀河の懐に落ちていった──。
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