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カムパネルラのことを考えるのだ。
銀河鉄道で天上へ向かった、カムパネルラはなぜ死んだ?
そう、星祭りの夜に級友のザネリが川に落ちて、それを助けるためにカムパネルラは川に飛び込んだ。そしてザネリを助けたが、自らは水の底に沈んでいった。
川、級友、溺れる、水。
手を伸ばす、助ける、川。──何の川?
洪水、迫る、手を伸ばす、そして、
『──シホ!』
私は唸りを上げる濁流の中、今にも飲み込まれそうな少女と目があった。
『シホ!』
お父さんの車の窓から必死で手を伸ばし、私はもう一度彼女の名を叫んだ。
にわかに洪水の景色は消え去って、私は銀河鉄道の中にうずくまっていた。
なんておかしな夢を見たのだろう? その少女の名前も顔もみんな『私』そのものなのに、私はその子を『シホ』と呼んだ。
じゃ、いったい私は何者で、そしてあの子は誰だというの?
ひどく大事なことを忘れている気がするのに、もうあと少しのところで思い出せない。
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