7・まさかのまさか(中編)

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でもとりま一目会えただけでもラッキー! 神様ありがとう! 侑弥くん、今日もまぶしいほどにイケメンですね! 「こんにちは。――早く出ないと、しまっちゃいますよ」 侑弥くんの言葉にハッとし、俺は急いでエレベーターを出る。 入れかわりで侑弥くんが乗り込むだろうと思ったのだが、何故か彼は一歩も動かなかった。 だから扉が閉まったエレベーターの前に、俺と彼が並んで立つ形になった。 「……乗らないんですか? いっちゃいましたよ」 「あ、本当だ。まぁ急いでいないので、大丈夫です」 のほほんと侑弥くんが言う。 前も思ったけど……マジで天然なんだな。 いや今回の場合、余裕がある、というべきか? 「きれてた蛍光灯ですが、交換終わりましたので」 「取っ手も今回も、迅速に対処していただき、ありがとうございます」 「お気になさらず。仕事ですし。はー、それにしても今日も暑いですね。体調、お気をつけ下さい」 ヤバイストーカー的ファン認定されないために、もっと侑弥くんと話したいという気持ちを押さえつけ、俺は頑張って一歩踏み出す。 「えっと、宮田さん」 なのに彼が、俺を引き止める。 「は、はい? 何でしょう?」 「もしお時間あるなら、お茶飲んでいきませんか? 会社戻る前に、僕ん家で水分補給はどうでしょう?」 * これは現実か? もしこれが夢でなく現実なら、一生分の運を使い果たしただろう俺は、このマンションから出た直後に死ぬのかもしれない。 もしくは、バラエティー番組のドッキリ企画だったりして? 「宮田さーん。アイスコーヒーと烏龍茶、どっちがいいですか?」 おそらくカウンターキッチンの向こうに立つ侑弥くんが、リビングのソファーへ座る俺に聞いてきた。 「で、では、アイスコーヒーで……」 俺は侑弥くんに背中を向けたまま、ひきつり気味な声で答える。 ちゃんと振り向いて返事をすべきだと分かっているが、緊張で上手く身体が動かない。
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