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「いらっしゃいませ、真伍くん。さ、上がって」
ワイン色のYシャツを腕捲りして着ている侑弥くんが、玄関扉を開けてくれる。
あぁー、今日のお召し物も大変お似合いで、とっても素敵ですぅー!
「お、おじゃまします……」
俺が侑弥くんの家へ入るのは今回で三度目だが、相変わらずドキドキする。
いや、ご自宅におじゃませずとも、侑弥くんと会うたび、その美しいご尊顔と優しい声音に、常にドキドキしているのだが。
「他の人はまだ来てないんですね。俺が一番のりか」
以前、アイスコーヒーとティラミスを振る舞ってもらった、リビングへ入る。
軽くだが、ハロウィンぽい飾り付けがしてある。
――うっわ、俺のバカ!!
「手伝えることあったら何でも言って下さい」と伝えるの、忘れてたな?!
パーティーの準備、侑弥くんに全部任せきりにしちゃったじゃん!
もっと気を回せよ、俺のボケェ! いっぺん死んで来い! 最低!
「あ、言ってなかったっけ? ごめん、他に誘った人には全員断られちゃって、今日は僕と真伍くんだけなんだ」
「えっ?!」
驚きの事実に、俺は自己嫌悪しているどころじゃなくなる。
えっ、えっ、えっ……?!
ということは――推しと二人きり?!
これまでに三回、二人で飯行ってるけど……他の客や店員とかがいないから……本当の本当に二人きりじゃん?!
「ごめんね。みんな忙しいらしくって……」
侑弥くんが申し訳なさげにうつ向く。
「だ、大丈夫です! 侑弥くんと二人きりでハロパできるとか、光栄以外の何ものでもないですからっ! むしろ神様ありがとうございますー! みたいな?!」
んん? ちょっと待て、俺。言葉盛りすぎたか?
もしこれが女性相手だったら、「ラッキースケベありがとう!」みたいな感じの言葉に、聞こえなくもない……?!
「あのっ、神様ありがとうっていうのには変な意味はなくて――」
「うん、分かってるよ。よかった。二人でハロパ楽しもうね」
慌ててフォローを入れようとした俺へ、顔を上げた侑弥くんがにこりと笑いかけてきた。
ぎゃー!笑顔がまぶしいー! 浄化されて消えてしまうー!
「あ、あの……これ、お菓子です」
俺はまぶしい時にやるように、手で目にひさしを作りながら、デパ地下で買った菓子の袋を差し出す。
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