11・この気持ちは

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俺は戸を開け、言い訳しながらリビングへ戻る。 視聴を中断することになってしまったドラマは主題歌を流し、今まさに終わらんとしていた。 ソファーに座る侑弥くんの顔はテレビへ向いておらず、彼はひじ掛け部分へもたれて眠っていた。 「あー……」 どうしよう、という気持ちから、俺は無意識にあごをなでる。 侑弥くんが寝ちゃったのって、俺が長時間電話して、戻ってこなかったせいだよなぁ? 彼があまり酒に強くないせいもあるかもだが。 起こすべきか、このまま寝かせておくべきか? 俺は足音を忍ばせて侑弥くんに近寄り、悩む。 普通の友達なら、特に何も考えず起こすのだけど、相手はただの友人ではなく推しなのだ。 うーん……。 睡眠を邪魔せず、静かに帰るってのはやっぱナシだよなぁ。 でも気持ち良さそうに寝ているのを、無理矢理起こすのも気が引ける。 時間的にそろそろおいとましなきゃだし、つまみや酒が乗ってるテーブルの上を片付けたりしてたら、その気配で目を覚ましやしないだろうか? 「…ん……」 悩む俺の眼下で、侑弥くんがわずかにうめき、身じろぎする。 お? もしかして、そんなに深くは眠っていなかったりする? なら、起こしてもいいかな? 侑弥くんの睡眠の深度をはかるため、俺はそおっと彼へ顔を寄せ、様子をうかがう。 オウッフ! ……ちょっと、ねぇ。 知ってた。うん、俺知ってたよ。 でもね、でもさ……東海林侑弥、ハンサムがすぎるんじゃが??!! 何回か会ってだいぶ慣れたと思っていたんだが、お顔が、ご尊顔が、本当の本当にキレイすぎるっっ!! 超至近距離から見ても毛穴のない、ノーファンデの、ツルスベ色白極上肌! マスカラもツケマもしてないのに長く、カールの角度も完璧なまつ毛! ゆるくパーマがかかった黒髪がいく筋が顔にかかっているが、そのかかり方も百二十点満点! いや、一億点満点! かさつきやひび割れ? なぁにそれ? な赤い唇は、こちらも化粧品なしでうるツヤ! ヒィー! こんなの絶対に神様が全力だして造った人間じゃんー! 男版眠り姫ー! スリーピングビューティー! マジムリー! カッコいいーー!! 好きぃぃぃーーーー!!!! ……寝顔、普段よりちょっと幼くて、可愛いな。
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