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俺は戸を開け、言い訳しながらリビングへ戻る。
視聴を中断することになってしまったドラマは主題歌を流し、今まさに終わらんとしていた。
ソファーに座る侑弥くんの顔はテレビへ向いておらず、彼はひじ掛け部分へもたれて眠っていた。
「あー……」
どうしよう、という気持ちから、俺は無意識にあごをなでる。
侑弥くんが寝ちゃったのって、俺が長時間電話して、戻ってこなかったせいだよなぁ?
彼があまり酒に強くないせいもあるかもだが。
起こすべきか、このまま寝かせておくべきか?
俺は足音を忍ばせて侑弥くんに近寄り、悩む。
普通の友達なら、特に何も考えず起こすのだけど、相手はただの友人ではなく推しなのだ。
うーん……。
睡眠を邪魔せず、静かに帰るってのはやっぱナシだよなぁ。
でも気持ち良さそうに寝ているのを、無理矢理起こすのも気が引ける。
時間的にそろそろおいとましなきゃだし、つまみや酒が乗ってるテーブルの上を片付けたりしてたら、その気配で目を覚ましやしないだろうか?
「…ん……」
悩む俺の眼下で、侑弥くんがわずかにうめき、身じろぎする。
お? もしかして、そんなに深くは眠っていなかったりする? なら、起こしてもいいかな?
侑弥くんの睡眠の深度をはかるため、俺はそおっと彼へ顔を寄せ、様子をうかがう。
オウッフ!
……ちょっと、ねぇ。
知ってた。うん、俺知ってたよ。
でもね、でもさ……東海林侑弥、ハンサムがすぎるんじゃが??!!
何回か会ってだいぶ慣れたと思っていたんだが、お顔が、ご尊顔が、本当の本当にキレイすぎるっっ!!
超至近距離から見ても毛穴のない、ノーファンデの、ツルスベ色白極上肌!
マスカラもツケマもしてないのに長く、カールの角度も完璧なまつ毛!
ゆるくパーマがかかった黒髪がいく筋が顔にかかっているが、そのかかり方も百二十点満点! いや、一億点満点!
かさつきやひび割れ? なぁにそれ? な赤い唇は、こちらも化粧品なしでうるツヤ!
ヒィー! こんなの絶対に神様が全力だして造った人間じゃんー!
男版眠り姫ー! スリーピングビューティー!
マジムリー! カッコいいーー!! 好きぃぃぃーーーー!!!!
……寝顔、普段よりちょっと幼くて、可愛いな。
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