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今のところ、二人それぞれの所属事務所から、この件についての公式発表はなし。
――というのが、小一時間ほどインターネットを駆使し、得た情報だった。
結果俺は、これまでの人生で一番のダメージを心に受けていた。
なんでなんでどうして?
意味が分かるけど分からない。
侑弥くんが、侑弥くんも、炎上しちゃった!
見た目だけ清楚装った、どうせ中身は性悪クソビッチの、ちょっとだけ一般人より可愛いだけの女なんて、神が懇切丁寧に造りたもうた侑弥くんと釣りあってない! 釣りあうわけがない!
あー…うー……侑弥くんまで熱愛報道で炎上とか、俺ってマジでそういう意味の疫病神だったりする?
けど合コンってことは、ただの一夜の過ちかもしれないし?
ザクロは泥酔していたらしいし。
このブスは侑弥くんにヤり捨てされただけの女で、恋人なんかじゃないって。
でもでも侑弥くん、こんな頭と性格悪そうな女なんかと寝ないでよ。
ヤダヤダヤダ! 侑弥くんは俺たちファンのものなのに!!
恋愛してしまうのは仕方ないかもしれないけど、週刊誌に報道されないよう上手くやってよ。お願いだから。
芸能界引退するまでは、結婚発表するまでは、俺たちファンに夢を見せ続けてよ。
『東海林侑弥』や『百日紅ザクロ』をSNS検索して、両方のファンの阿鼻叫喚を流し見る。
賛同できる意見にはイイねを、侑弥くんを過剰にディスる奴にはブロックを。
その作業を繰り返し、気づけばもう夕方になっていたので、洗濯物を取り込む。
まだ少し湿気っているが、部屋の中で一晩吊るしておけば乾くだろう。
カーテンを閉め、カーテンレールにハンガーを引っかけたあと台所へ行き、インスタントコーヒーを淹れた。
それを持ってリビングにあるソファーへ座り、疲労を感じる頭でぼんやり考える。
――熱愛炎上したのに、推しへの気持ち、どうして冷めないんだろう……。
あぁそっか。今回は本当に普通に、俺が彼にマジ惚れしてるからか。
性別なんて全然関係なかったみたい。
もう色々ダメだな、俺。
熱いコーヒーをすすれば、その温かさに、炎上によって吸いとられてゼロになっていた気力と体力が、ほんの少しだけ回復した気がした。
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