13・ガチ恋と炎上(後編)

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『――だけどまさか週刊誌に撮られるとはね。うかつだったよ。まぁパパラッチの本命のターゲットは僕らじゃなく、今上り調子な別のアイドルだったみたいだけど』 「なるほど」 ため息まじりな侑弥くんの声を聞きながら、俺は思う。 百日紅ザクロ。どう考えてもお前、有害すぎる厄介ファンだよ。 お前絶対、侑弥くんの彼女になりたくて芸能界入ったんだろ。 お前の身勝手な欲望のせいで推しが炎上とか、マジで絶許。 今日から俺、お前のアンチになります。 『今僕が言ったこと、信じてくれる?』 スピーカーから聞こえてきた侑弥くんの、こちらの機嫌をうかがうような弱々しい声に、俺はちょっとびっくりする。 「もちろん信じますよ! 俺は全面的に侑弥くんの味方です!――もしかしなくても、事務所にメチャクチャ怒られました?」 『まぁ、それなりにね。うかつだぞ! って。けど真伍くんが信じてくれるって言ってくれたから、元気でた』 ふふ、と侑弥くんが電話の向こうで笑う。 「大変な時にわざわざ連絡くれて、ありがとうございます。記事見て、すごいやきもきしてたんで。SNSのトレンドにまで載っちゃうし……」 『ううん。こちらこそ不安になる報道出すようなことしてごめんね』 「事務所からコメントは出るんですか?」 『明日発表される予定』 「そうなんですね! それならよかった。公式から言ってもらえると、他のファンのみんなもほっとできますから」 『明日を待たずに僕がこうして電話したのはね、真伍くんの誤解は、できるだけ早く解いておきたかったからなんだよ』 「え?」 『だって真伍くんは僕の友達だから』 ズキッと良心と恋心が痛む。 「友達……そう言ってもらえて嬉しいです。ありがとうございます」 俺の罪を知らない彼は、無邪気で残酷で、優しい。 「あ、そうだ! もし俺にできることがあったら何でも言って下さいね!」 『ん? どういうこと?』 「トレンド載るくらい炎上しちゃったから、周りがしばらく騒がしいんじゃないかな、と思って。追加のスクープ撮るために、週刊誌の記者にストーカーされるとかありそうですし?」
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