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炎上で覚めなかったはじめての気持ちが、芸能人から一般人に戻った程度で消えるわけがない。
それだけは断言できる。
叶うなら、もう一度彼とキスしたい。
一度と言わず何度だって……それこそ、キス以上のことだってしたいよ!
「じゃあ――」
「でも俺……やっぱダメですっ。侑弥くんのこと死ぬほど大好きですけどっ、ポリシー的につきあえないですっ……ごめんなさい……」
頭がゆだって、思考がぐにゃぐにゃべちゃべちゃしている。
今俺の脳ミソって正常に動いていないよなぁ、なんて、他人事みたいに思っている自分がいる。
自分で自分がよく分からなくなる。
何言ってんだろ、俺。
ワケわからんポリシーなんて犬に食わせて、侑弥くんとつきあっちゃえばいいじゃない!
こんなラッキー、俺の人生でもう二度とねぇぞ?
――だよねぇ。俺もそう思う。
うるさくわめく過去の自分なんて燃えるゴミに出して、他のファンの気持ちなんて考えず、サクッとハッピーとラッキーを享受するのが正解。
そしたら俺も、大好きな侑弥くんも幸せになれるんだから。
うん、そうそう。
そうするのがいいって分かっているんだけど――
「ハロウィンの時、寝込み襲ってすみませんでした……」
「だからそのことで怒ってはいないって。謝らないで」
「侑弥くん……ごめんなさい。すみません……おつきあいできません。だけど大好きで、世界一愛してますっ……」
どういう感情で生み出されたか分からない涙が、ぽろりと一粒、俺の左目から流れた。
今泣きたいのは俺じゃなく、侑弥くんの方だろうにね。
せっかく勇気をだして告白したのに、俺以外には理解不能だろう理由でファンにフラれるなんて、思ってもいなかっただろうから。
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