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思い切って尋ねた途端、ガシッと襟首を掴まれ、間近でメンチを切られながら言われる。
萌葱くんが元ヤンという噂、ガチでしたー!
超怖いんですけど!
「兄貴として尊敬してるし大好きだけど、何か文句あんのか、コラ?」
「――あ、兄として、ですか?」
「優しくてカッコよくて面倒見もよくて仕事もできて、最高の兄貴だろうが! お前ファンのくせにどこ見てんだよ? 目ん玉腐ってんのか? アァン?」
あっ、ヤバイ。
こいつ、ガチ恋勢じゃないけど、違う方向でヤバい奴だ!
「い、いえ……兄として侑弥くんを見たことはなかったので……ファンですし。でも確かに、侑弥くんがお兄さんだったら、最高ですよね」
一応同意の姿勢をみせれば、ようやく襟首から手を離してもらえた。
すぐ暴力に訴えてくるヤンキー、怖ぇー。
こんな性格でよく仕事できてんな……。
ビビったのを隠しきれなかった俺を見て、バカにしたように萌葱くんがフンッと鼻を鳴らす。
「そうだ。侑兄は最高なんだよ。ファンのくせに忘れんな、ボケが」
一秒だって忘れてませんけどー?!
――しかし萌葱くんの下僕ねぇ……そんな人、バーにいたっけ?
俺は始終侑弥くんばかり見ていたから、他の客がどうだったかとか全く思い出せないや。
「今侑兄にな、日曜日の朝にやってる特撮の仕事の話が来てんだ」
「この無駄にえらく顔がいい、無許可ボディーガードと書いてストーカーと読む男にどう対応したらいいんだ?」と、俺が密かに考えていると、驚きの情報が知らされた。
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