18・推しを兄としたう男(後編)

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下僕(スパイ)派遣といい、侑弥くんの前から逃げたオレへの突撃といい、何なんだこの萌葱くんのよく分からない行動力は?! 妙な作戦に俺を巻き込むな! 「いーじゃん。オレの説が立証されれば、侑兄は役者続行で万々歳。ダメでも、お前は恋人をゲット。誰にも損ないだろ。お前は侑兄の告白断ってフリーなんだしさ」 「うっ……。でも、ええっと、俺の心境が無理っていうか……」 ポリシー的にどうしようもないから、断腸の思いで断るしかなかったのだ。 だから俺はフリーではあるけど、片想い継続中でもあるんだよ! 侑弥くん以外の人間なんかとつきあえる心境じゃないんだわ! 「それに、そう簡単に恋人なんてできませんよ。俺は萌葱くんや侑弥くんみたいにイケメンじゃなくて、そこらへんにたくさんいる、一山いくらのサラリーマンなんですから」 「合コンとかお見合いとかで、何とかなんねぇか?」 「なんねーですし、まだ結婚する気はねーです」 きっぱり断ったというのに、萌葱くんはあきらめることなく、しつこく食い下がってくる。 「頑張れば何とかなるって! やる前から――って……宮田ってさ、ちゃんと毎日働いてるサラリーマンだよな?」 「? はい、一応」 「今何歳?」 「二十四ですけど」 俺の年齢を聞いた萌葱くんが、にやりと笑う。 何だか嫌な予感。 「うん、よし! 丁度いいのがいるから、オレが相手紹介してやるよ」 うわ、ソッコーで嫌な予感当たった……。 「いや、マジでそういうの結構なんで」 「何だよお前、オレがブスとかヤベー奴紹介すると思ってんの? しねぇって」 萌葱くんはスマホをコートのポケットから取り出して数回タップした後、「ほらこれ! 見てみろよ」と、俺にスマホの画面を見せてきた。 「それなりにイケてる女だろ?」 萌葱くんのスマホのディスプレイには、仮に俺が交際を申し込んだとしても、お断りされそうな美人の画像が表示されていた。 黒髪セミロングで、細身で、色白。 アーモンド形の目はぱっちり二重で、鼻筋も通っている。 真面目で大人しそうな雰囲気。 年齢は俺と同じか、少し上くらいだろうか。 それにしてもこの美人――誰かに似ているような? 「この人、誰です?」 「オレの姉貴」 「へ?! 萌葱くんのお姉さん?!」 あぁー! なるほど! 言われてみたら、輪郭と口元が萌葱くんと似てる!
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