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あなたの気持ちに応えられない俺のことなんて、一秒だって待たなくていいんです。
だけど――俺のことを好きでいて欲しい。
あああ……俺ってマジでどうしようもない、最低野郎だ。
萌葱くんのお姉さんの、歴代のクズ彼氏たちと並んでも遜色ないくらい、俺もクズだ。
*
自宅へ帰り、約一時間。
俺はコートを着たまま、ローテーブルの上に置いたスマホの前に正座していた。
侑弥くんからメッセージを受けてから、ずっと返信を考え続けている。
いい加減、返事をしなければ。
俺はようやっとLINEの侑弥くんとのトーク画面を開き、考えに考えた言葉を入力する。
『昨日は逃げてしまってごめんなさい』
紙飛行機マークを押すと、数秒で既読になった。
……この向こうには侑弥くんがいるんだな。
彼の存在を感じた心が、今まで以上に苦しくなった。
『あれからずっと、今も混乱しています』
『なので頭を冷やすため、お互いにしばらく、連絡を控えることにしませんか?』
卑怯でゴミクズな俺は、執行猶予をくれ、という旨のメッセージを送信した。
侑弥くんの手を取りたい。でも、取れない。
推しをあがめる純粋なファンだった昔の俺が、許さない。
だけど、そう簡単にあきらめられるわけもなく。
『そうだよね。考える時間、一晩じゃ全然足りないよね』
『分かった』
『気持ちと考えが落ち着いたら、連絡ちょうだいね』
俺がメッセージを送ってから数分後、侑弥くんから返事が届く。
侑弥くん、本当に優しいなぁ。
なのにどうして、こんな俺なんかを好きになっちゃったの……。
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