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「――なぁ久保田。話変わるんだけどさ、もしお前が女優やグラビアアイドルから告白されたら、つきあう?」
「マジでえらい話変わったな。どうした? 一般人の恋人発覚とかで、また推しが炎上したんか?」
「んー、まぁそんなとこ」
同僚たちには「役者の推しができた」としか話していないから、久保田は俺の今の推しが、侑弥くんだと知らない。
「またまた頻繁に大変だな。――好きな女優やアイドルから告白されたら、ラッキー! と思ってつきあうけど? 宮田はつきあわねぇの?」
つきあわない意味が分からん、という表情を久保田がし、逆に問われた。
「そりゃ俺だってつきあえるならつきあいたいよ。――じゃあさ、好きな芸能人が結婚したらどうする?」
「別に何も。おめでとー! 相手誰? って感じ」
「少しもへこんだりしないんだ?」
「ないな。だって結婚てめでたいことじゃん」
久保田お前、まぶしすぎる……。
ガチ恋厄介ファンな俺とは真逆の、めちゃくちゃ光属性のファンじゃねぇか。
ならこれ以上この議題で話すだけ無駄だな、と落胆した俺に気がついたのか、久保田に聞かれた。
「宮田の今の推し、『結婚も恋愛もしません!』という売り方してんの?」
「いや……」
俺が知る限り、侑弥くんがそういう営業をしているところは、見たことも聞いたこともない。
俺含む一部のファンが勝手に恋をし、これまた俺含む一部のファンが、理想的な偶像でいてくれることを彼に望んでいるだけだ。
「うるせぇ外野の意見かもしれないけど――俺はさ、色恋営業をしてない芸能人がプライベートで恋人作るのは、別にイイんじゃねぇのかなぁ……と思うんだけど?」
俺は何も言えず、ただ久保田を見る。
「芸能人って人気商売で、キレイな容姿も売りにしてる奴はガチ恋されるのも仕事のうちだから、そこらの管理はしっかりすべきだとは思う。ファンにバレないように」
「うん、俺もそう思う」
「だよな。――だけど『恋人作りません!』という公約掲げていない限りは、バレなきゃカレカノ作っていいと思うんだよな。
恋人作らない、とは言ってないんだから。
カレカノの存在がファンに知られなきゃ、ファンから見て、推しに恋人はいないわけだし」
「それはまぁ、そう」
アイドルは夢を売る商売。
侑弥くんは俳優で、アイドルではないけど。
でも俳優だって偶像で、憧れやら恋やらが入りまじった感情を向けられ、それにより支持される存在だと思う。
当人たちは否定するかもしれないが。
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