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大抵の場合男にとって都合が悪い、『女の勘』てヤツが働いたっぽいな、と察した。
たぶん今俺は、しょぼくれた情けない表情をしてそうな気がするから、勘以前の話かもしれないけど。
――って、俺何今へこんでんだよ! ダメだダメだ! しゃんとしろ!
くるみさんと会うと言い出したのは、俺からなんだぞ!
今は侑弥くんのこと考えたらダメだ!
「じゃぁお会計しますんで、出ましょうか」
慌てて営業スマイルを浮かべ、俺が椅子から立ち上がろうとすると、立っていたくるみさんが、逆に椅子へ座った。
「あの、宮田さん」
「はい、何でしょう?」
俺は浮かせていた尻を、仕方なく再び座面につける。
「今日ここへ来たのは、あなたの意思ですか?」
「え?」
「真琴が――弟が、無理を言って来させたんじゃないですか?」
「いいえ、違いますけど。どうして突然そんなことを聞いてくるんです?」
「だって宮田さんてばお話ししている間ずっと、心ここにあらずな感じなんですもの。それに元気がない顔をしているし」
あぁやっぱりお察しされてた。
ダメだなぁ、俺……。
でもさすがに、侑弥くんとの両片想いで俺が心を乱しているとまでは――
「ひょっとして、他に好きな方がいたりしません?」
えええ?! 相手が誰かは分からなくても、いきなりそこまで当てちゃうんだ?!
本命がいるのにお見合いに来てること、当てちゃうんだ?!
他人の命を預かる看護士の観察眼、てヤツですか?!
「……すみません。ごめんなさい、そうです」
ややしばらくの沈黙の後、俺は背中に冷や汗をかきながら謝り、認めた。
そして膝の上の両手を強く握り、勢いよく頭を下げる。
「せっかく今日来ていただいたのに申し訳ありません! 俺には好きな人がいるので、あなたとはおつきあいできません!
俺から会いたいと言い出したのに、ごめんなさい!」
俺が頭を下げたまま一気に言いきると、フゥとくるみさんが大きく息を吐いた音が聞こえた。
「やっぱりそうだったんですね。私の勘、ロクでもないことで大当たりしちゃった」
くるみさんの声に怒っている気配はなく、残念だわという雰囲気しか感じられなかったので、俺は恐る恐る顔を上げ、彼女を見る。
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