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23・ごめんなさい、大好きです
俺が失礼すぎるお見合いをした翌週。
争奪戦争で勝ち取ったチケットを握り、俺は推しの舞台を見に行った。
今回の推しも、いつも通りの素晴らしい演技と存在感で輝いていて、最高だった。
それから更に一週間がたった、大千秋楽が終わった翌日の、二十一時少し前。
自宅マンションのリビングのソファーの上で正座した俺は、何十回も推敲した文を、侑弥くんにLINEで送った。
『お久しぶりです。
俺からの連絡なんてすごく不愉快だとは分かっているのですが、侑弥くんにどうしても伝えたいことがあります。
可能なら会ってお話したいのですが、電話でもいいです。
文章だと伝えきれない気がするので、言葉で伝えたいんです。
お返事お待ちしています』
返事がくるかがそもそもあやしいが、LINEで『好きです。つきあって下さい』と送るのは、何か違う気がしたのだ。
もうとっくの昔に今さらで、遅いかもしれない。
いや、「かも」ではなく、絶対に遅いだろう。
それでも俺は、LINEでは告白したくなかった。
返事を期待してはいけない……と思いつつも、スマホを持ちながら俺が部屋の中をうろうろしていると、侑弥くんから電話がかかってきた!
LINE送ってから、たぶん十分もたってない!
予想よりむちゃくちゃ早い!
というかメッセージじゃなく、電話だと?!
これって、まだ見捨てられてないって期待してもいい?!
「――あっ、もしもし、宮田ですっ。侑弥くん、お久しぶりです。あのっ……」
『僕と話しがしたいなら、今すぐ海浜公園に来て。今その近くで飲んでるから』
「か、海浜公園……」
覚悟はしていたが、スマホが伝えてくる侑弥くんの声はとても冷たい。
『観覧車が見えるトコのだよ。電話じゃ話聞かないし、今来てくれなきゃもう会わないし、LINEもブロックする』
「行きます! 今すぐ行きます!」
当たり前に侑弥くんは怒っている――だけど、会ってくれるって!
やった! 首の皮一枚つながってた!
『そう。じゃ、ついたら連絡して。そしたら僕も店出るから』
「は、はいっ!」
俺の返事を聞いたか怪しいくらいの早さで、ブツンと容赦なく電話を切られてしまった。
悲しい……けど自業自得だし、落ち込んでいる暇はない。
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