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24・エピローグ
未来の結婚相手から俺が指輪をもらった年の秋、推しは役者を引退し、芸能界から去った。
そして冬になってすぐ、彼は夢のために渡仏した。
この秋から冬にかけての短い期間に、俺たちは萌葱真琴と揉めたのだけど、最後は侑弥くんが彼を説き伏せて何とかなった。
いまだに時々、意味がよく分からない画像を俺に送りつけてくる萌葱くんは、侑弥くんが料理修行に行った翌年、日曜朝の特撮ヒーローとなった。
SNSで番組名をパブサしたら結構いい評判のようなので、萌葱くんはきっとここから地上波のドラマへ進出し、人気俳優になっていく気がしている。
萌葱くんのお姉さんのくるみさんだが、なんと今、俺の同僚の久保田とつきあっている。
俺と久保田が昼休みにコンビニまで飯を買いに行く途中、たまたま仕事が休みだったくるみさんと鉢合わせたのが、二人が出会ったきっかけ。
その時にくるみさんに一目惚れした久保田は、彼女に猛アタックし、彼氏の地位を少し前に見事勝ち取ったのだ。
「私たちって、パズデビ古参プレイヤー同士なせいもあって、話があうの」
交際の報告をしてくれた時、くるみさんは笑ってそう言った。
俺が知る限り久保田はクズじゃないけれど、万が一にも奴がクズ男にならないよう、密かに監視していこうと思う。
腐れ縁幼なじみの美波は、相変わらずオタ活をエンジョイしている。
しかし、ライトにだが推していた萌葱くんがメジャーに行ってしまったので、「喜ばしいけど、ちょっと寂しい」という微妙なオタク心を、先日の飲みの時に吐露された。
……うん、まぁ、元気だせ?
最後に、俺のこと。
俺はフランスへ旅立つ侑弥くんを見送った帰り道、目標を立てた。
彼が帰国するまでの約二年間、仕事に励みまくってたくさん貯金するぞ! と。
ただぼんやり待つんじゃなく、修行を終えた侑弥くんがすぐに店を持つことができるよう、手助けするために。
ま、このことは侑弥くんには秘密なんだけどね。
言ったら遠慮しそうだから。
*
祝!!
とうとう今日、俺の愛する侑弥くんが日本へ帰ってきます!
一日千秋な毎日をくり返し、ようやく二年(と少し)たったー!
約二年という期間は普通に長いし、会いたい人に会えないんだから、待ちわびすぎてむちゃくちゃ長く感じた。
でももう数時間後には、そんな感情とはオサラバでーす! イェイ!
抜かりなくこの日のために有給をとった俺は、鼻歌を歌いながら車を運転し、空港まで侑弥くんを迎えに行った。
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