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「――生身で会うのは約二年ぶりなわけだけど、髪型以外は変わってないね」
一時間ほど前、俺と侑弥くんは無事に空港のロビーで、感動の再会をはたした。
そして現在、侑弥くんは俺が運転する車の助手席に座っている。
「もう成長期は終わってますし、時々ビデオ通話もしてたのに、そんなこと言うんです?」
左隣から感じる彼の視線に少しドキドキしつつ、俺は苦笑する。
「それはそうだけど、画面ごしとリアルじゃやっぱりこう……違うじゃない?」
今車で向かっている先は、帰国した侑弥くんと二人で住むため、俺が三ヶ月前から借りている新居だ。
「ですね。画面ごしでもカッコいいですけど、生の侑弥くんは、やっぱりその一万倍はカッコいいなって実感してます」
当たり前の話、たったの二年ぽっちで侑弥くんの美貌が衰えるわけがない。
というか、この二年の間に、逆にますます磨きがかかったんじゃないかとすら思う。
フランスに行ってすべてが洗練され、大人の色気が倍増したというか……。
ヤバイ……こんな世の宝みたいな人と俺が、これから同じ家に住むのかよ。
緊張と爆上がりテンションで、俺の血管切れるかもしれん。
「真伍くんも生身の方が一万倍可愛いよ」
「ッ〜〜!」
ちょっとぉ〜〜!
いきなり爆弾落とさないでくださいぃぃ〜!!
動揺しまくっちゃうでしょ〜!!
「……あの、誉めてもらえて光栄なんですけど……運転中なので、俺の心を乱すようなことは言わないでもらえますか?」
二年前に彼と両思いになった日、
『侑弥くんを最後の推しとし、以降推しはもう作らないから、どうか今回だけ許してくれ』
と強く誓ったものの、遠距離恋愛になるわけだし――正直不安だった。
自分はやすきに流れやすい、弱い人間だと知っているから。
しかしこの約二年間、可愛い子やイケメンを見ても、「おっ、イイじゃん!」とは思っても、誰も俺の心の中の一番をとってかわるようなことはなかった。
それくらい俺は侑弥くんのことが好きなんだなぁと思う反面、目移りする気配すらない自分が少し怖いな……なんて思ったりもして。
だから俺は相変わらず、彼の一挙一動にキュンキュンしてしまう。
「もう何度も言ってることだし、そろそろ慣れて欲しいなぁ」
「リアルに隣で言われると、破壊力が段違いなんですよぉー!」
「うーん……。まぁ事故ると困るから、今はこれ以上言うのはやめておこうか」
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