最後に願うこと

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「お父さんも早く来てくれたらいいな」 「そうね、早く来ないかしら」 「あっちの世界では会わなかったの?」 「そうね、記憶がないのよねぇ。眠ってただけな気もするし、ふわふわ浮いていた気もするんだけど」 「そっか。でも、お母さんだけでもいてよかった」  横からきゅっと抱きつけば、いつもの優しい手で撫でてくれる。 「きっとお父さんもすぐ来るわよ」 「うん、それまでは二人で楽しく生きて、ううん過ごしていこうね」  生きてるかどうかは未確定だし、いつまでこのロスタイムが続くかもわからない。それでも、本当の終わりが来るまで、お母さんと笑って過ごしたい。 「家族としてまた過ごせて嬉しいよ」 「私もよ、まだまだ心配だったし。結婚まで見送りたかったなぁとは思ってたから」 「じゃあ、いつまでかはわからないけど。続く限りはいっぱい話して、一緒に過ごそうね」  お母さんの肩に顔を埋めて、懐かしい匂いに頬を緩ませた。  この時間が終わりませんように、と祈りながら。  <了>
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