最後に願うこと

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 いつのまにかウトウトとしていた私を起こしたのは、寒さだった。目を開けて時計を見つめれば、もう明日だった。来るはずのなかった、明日。 「終わってないじゃんか。学校だって行くのやめちゃったのに」  砂を払いながら起き上がる。世界は知らないヒーローに、救われたのかもしれない。そんな淡い期待で、今まで電源を落としていたスマホを取り出す。電源を入れてみても、やっぱり電波は受信しない。  近くの家を見渡しても、人の声一つ聞こえない。急に不安になってきた。私一人だけこの世界に取り残されたってこと?  先ほどの食堂に慌てて駆け込む。老夫婦はいなくて、ただ静寂と暗闇が広がっていた。 「一人だけ取り残されるのは聞いてないよ」 「一人では、ないみたいだけどね」  後ろからする聞き覚えのある声に、振り向けばお母さんがそこに立っていた。 「お母さん?」 「久しぶりね」 「なんで、でも、え?」 「なんでかは、私も分からないけど」 「ロスタイムってこと?」 「さぁ?」  不思議そうに首を傾げるお母さんに私もつられて首を傾げてしまう。
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