2人が本棚に入れています
本棚に追加
神谷たちは山道を走り抜けて、分岐点に出る。
このまま真っ直ぐか右手に曲がるか、神谷は真っ直ぐ進んで行き、月倉たちが続く。
神谷たちが石階段を上がって行くと、その先に神社があり、神谷が懐中電灯で化け物がいないか一帯を照らし見る。
気配はなく、神谷は蛇の像が両側に建ち並ぶ参道を通って本殿へと近寄って行き、中に入る。
月倉たちがそれに続き、神谷たちは腰をおろして一休みする。
無惨に殺られた高松の事を思いながら、生きた心地がしない中で、如月が皆が思ってることを口にした。
「生きて帰れるのかな・・」
暫しの沈黙が流れ、神谷が絶望に呑まれまいと自分に言い聞かせるように言う。
「何とか帰るんだ!絶対帰れる!大丈夫だ!
きっと他の道があるはずだ」
「トンネルが塞がって帰れなくなるとかホラー映画だよな・・
まさかこんな事が現実に起きるなんてな・・」
月倉が怖過ぎて最早笑けそうになりながら言う。
「そもそも現実世界なのかここ?異界に迷い込んだとか・・?」
「異界・・」
如月が反芻して、神谷が言う。
「とにかくこの村から出ればいい。一山二山越えれば県道なりどこかしらの道路に出るだろう。
入って来れたんだから出られるはずだ。気を強く保て!」
月倉が顔を上げて神谷を見て言う。
「いつからそんなリーダーシップ性あった?」
「そんなの発揮してるか?」
「ああ。隊長よりな。隊長は・・?」
そう言って憔悴し切っている酒田を見る月倉。
「大丈夫か隊長・・?」
「・・・もう誰も生きて帰れねぇよ・・
みんなここで死ぬんだ・・」
「しっかりしろ酒田」
神谷が肩に触れて励ます中、天羽が疲れた足を揉みしだき、如月が携帯電話を取り出して何かしら使えないか操作する。
月倉と神谷が得体の知れない祟られ人の事を話す中で、如月がライトとカメラしか機能しないことを確かめて、録画モードにして言う。
「あの化け物たち撮って帰ったらスクープで売れるかな・・」
「よくできたホラー映画だって言われなきゃな」
月倉が言う。
「誰も信じないだろうな。今の今俺だってこんな状況信じられない思いだ」
「神様仏様どうかお助けください。お願いします」
超常現象には超常現象の力だと酒田が藁にも縋る思いで祈り出して、月倉も神様仏様のお助けを念じる。
「ヤキウチダ」
逃げ込んだのを見ていた祟られ人が火をつけた弓矢を笑いながら構えて、射ち放つ。
本殿に突き刺さって、祟られ人がまた矢に火をつけて射ち放つ。
酒田が目を瞑って祈り続けている中で、神谷が顔を上げる。
「何か煙臭くないか?」
月倉たちが鼻をひくつかせ、煙が入ってきていることに気づく。
「煙だ!燃えてるぞ!」
神谷が勢いよく立ち上がって行き、開けると・・
「うわっ!」
火のてが回っていて、月倉たちがパニクる。
「ヤバいぞ!」
「クソ!急げ!」
神谷が脱出にかかって月倉たちが必死に続く。
「うわ!」
火の矢が飛んできて、神谷が身を屈めて振り向き、祟られ人を見る。
祟られ人が追い駆けてきて、神谷が皆に言う。
「こっちだ!」
神谷が先導して行き、月倉たちが山道を駆け続く。
そして、神谷たちは先にある約1kmのトンネルに入って行き、懐中電灯で行く先を照らしながら進んで行く。
「クソ・・嫌な予感しかしないぜ・・」
神谷が今にも暗闇から化け物が飛び出してきそうな中を照らしながら慎重に進んで行き、月倉たちは互いの肩が触れるほど固まって神谷の後を続いて行く。
「ッ!」
神谷が照らされた祟られ人たちを見て立ち止まり、4体の祟られ人に息を呑む如月。
叫びながら祟られ人たちが襲いかかってきて、天羽が悲鳴をあげる。
神谷は果敢に応戦して一体をはっ倒して、もう一体と取っ組み合う。
暗闇の中で女祟られ人が叫びながら月倉にアタックして、避けようとした月倉が顔を引っかかれて蹌踉めき、オヤジな祟られ人が笑いながら酒田に掴みかかって押し倒す。
「コロシテヤル」
「やめろよせ!」
酒田が必死に抵抗する中で、月倉に再度女祟られ人がアタックして月倉が掴み倒される。
「助けてくれッ!!」
酒田が首を締められそうになりながら必死に叫び、二体目をはっ倒した神谷が懐中電灯で照らしながら迫って祟られ人を蹴りつけて退かす。
「早く立て!」
神谷が手を貸して立ち上がらせて、月倉が叫ぶ。
「やめろッ!痛ッ!」
祟られ人が抵抗する月倉の腕に噛みつき、神谷が走り迫って飛び蹴りをかます。
女祟られ人が呻いて倒れて、神谷が月倉を助け起こす。
「大丈夫かっ?」
「噛まれたっ・・」
月倉が何か感染しやしないかとゾンビあるあるを思いながら腕を見据え、神谷が言う。
「逃げるぞ!」
祟られ人たちが起き上がってくる中で、神谷たちが走って逃げて行く。
最初のコメントを投稿しよう!