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月倉たちは真っ暗闇な夜の山中に出た。
「えッ・・あれッ 夜だぞ!」
月倉が度肝を抜かれながら辺りを見回して、神谷たちも狼狽する。
「どうなってんだ!?え 今何時だ!?」
神谷が携帯電話を見ると電波が入っていなく、時刻はPM15:18と表示されている。
かなり大きい満月が夜空に煌々と不気味に輝いていて、月倉たちがパニクり続ける中で、酒田が言う。
「一体何がどうなってる・・?」
と・・・
奥の暗闇から人影がヨロヨロと近づいて来て、月倉が気づいて見据える。
「ナニヲツクロウカシラ」
ボイスチェンジャーの様な異様な声質でソレは言いながら寄って来て、神谷たちがゾッとしながら一斉に振り向き、酒田が懐中電灯を向けた。
ソレを見て如月と天羽が悲鳴をあげて、月倉たちが恐怖に叫ぶ。
文字通りの白い肌に、白目も含んで黒い目の人ならざる人(女)が照らされて、ソレが月倉たちを見て狂ったように笑って言う。
「クモツヲササゲナイト」
女は叫びながら手に持った包丁を振りかざして襲ってきて、月倉たちが飛び退き、酒田が叫ぶ。
「逃げろッ!!」
高松たちが全速力で来た道を引き返して行き、月倉と酒田が怖気づいて動けない如月と天羽に声を掛けて引っ張って逃げて行く。
「何なんだアレッ!」
「化け物じゃねーかッ!」
「マジビビったわ!」
神谷と高松と山﨑が一目散に駆けながら口々に叫び、得体の知れない化け物から逃げて行く。
「おい酒田何だあれッ!?ドッキリでも用意してたのかっ!?」
月倉が全速力で走りながら聞き叫び、酒田が叫び返す。
「知らねーって!!ドッキリなんか用意してねーよ!マジ何だアレッ!!?」
神谷たちが500メートルほど走ってきて
「おいッ!うそだろッ!」
神谷が息を切らしながら叫び、懐中電灯が照らした先は行き止まりの壁になっていて、トンネルが塞がっていた。
「塞がってるぞ!!!!」
「おいどうなってんだよ!!!」
「うそだろおい!!!」
月倉たちが駆けてきて、口々に取り乱して叫んでる神谷たちを見ながら言う。
「どうしたーーあッ!」
月倉が塞がって行き止まりになってる壁に唖然として、神谷が叫ぶ。
「壁で塞がってんだよ!!!」
「おいうそだろ!!?」
酒田が壁に駆け寄って必死に触り、叩く。
天羽が完全に泣き出して、如月は茫然と立ち尽くす。
月倉たちは帰れなくなった。
「ニゲナイデヨ」
奥から喚き笑いながら女が迫ってきて、これは夢だと酒田が狂ったように繰り返しながら頭を叩き、覚めろと自分に何度も言い聞かせる。
「クモツヲササゲナイトイケナインダカラサ」
女が包丁を振り回しながら月倉たちに再度襲いかかってきて、月倉たちが距離をとりながら避わす。
神谷がバックパックから不良対策で持っている護身用スタンガンを取り出して、身構える。
女が山﨑に包丁を振って、背後から神谷がスタンガンを当てる。
女が短い悲鳴をあげて倒れる。
「イタイ ナニスルノヨ」
「今のうちだ!逃げるぞ!」
「向こうに行くのか!?」
月倉が神谷に聞き返し、起き上がってくる女に神谷が再度スタンガンを当てて言う。
「他に道があるか!?行け!」
「何でこんな・・」
月倉が非現実に狼狽えながら酒田に声掛ける。
「酒田!おい!酒田!」
酒田はこれは夢だと自己暗示を続けていて反応せず、高松が近寄って肩を揺さぶって言う。
「しっかりしろ酒田!酒田!」
酒田が目を開けて高松を見る。
「気をしっかり保て!」
「高松 おれはーー」
「アアァァァァ!!」
神谷が3度目のスタンガン攻撃して女が痛みに叫び、酒田がハッとして女を振り向き、凝視する。
「貸せ!行くぞ!」
高松が懐中電灯を酒田の手から取って走り出して行き、神谷が酒田に言う。
「急げっ!」
神谷が走り出して、酒田が呻きながら起き上がろうとする女から目を無理やり逸らして駆け出す。
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