蛇孔村

6/18
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
神谷が猟師を見ながら背後から迫り、後頭部に鍬の一撃を喰らわせる。 「ウグアッ」 猟師が倒れて、神谷が頭に鍬を振り下ろしまくる。 頭蓋が割れて黒い血とミソが飛び散り、神谷が息をつきながら見下ろす。 男は動かなくなり、神谷が鍬を捨てて猟銃を奪い取って見る。 使い方は分からないが、神谷は懐中電灯をつけてその場から離れて行き、月倉たちを呼びながら探す。 月倉が神谷の声を聞いて身を上げて、ライトの明かりが揺れているのを見て、如月と天羽に言う。 「行こう!」 月倉と如月と天羽が潜んでいた所から出て行き、女が月倉たちを見て、迫って行く。 「銃持った奴はッ!!?」 高松が神谷の所にやって来て聞き、神谷が答える。 「殺した!山﨑はっ?」 「分からない!逃げるのに必死でどうなったか見てない!」 高松が答え、月倉たちが合流してきた。 「山﨑はっ?」 「殺された!」 「くそっ!こっちだ!」 神谷が先導して走り出して、月倉たちが続く。 神谷たちは面積7.04km²の蛇孔村の10ある地区の内の1つの鴉髀地区に入って、廃屋が点在する中を駆けて行く。 神谷が一先ず落ち着ける場所を探しながら走り、一軒の家屋に目を留めてそっちへ行き、月倉たちが後に続く。 神谷が引き戸を開けて、中の様子を確かめる。 「入れ!」 月倉たちが入り込んで、酒田が戸を閉める。 ボロい屋内の和室の居間に入って、神谷たちが襖を閉めて身を潜める。 「何なんだよこの世界 おれたちは霊界か何かに迷い込んだのか?」 月倉があまりの非現実的事象にわけが分からずに言う。 月倉たちが口々に狼狽えを口に出す中で、神谷が携帯電話を取り出して見る。 最早通信手段としては使えず、悪態をついてしまう。 「夢じゃないのか!」 酒田が再度顔を叩きながら紛れもない現実に脅え、高松たちも受け入れ難い現実にただただ恐怖する。 廃屋エリアに女がやって来て、その後ろから鎌を持った男がえっちらおっちらやって来る。 「ドコ二ニゲタノカシラ」 女が廃屋に入って行き、捜して回る。 「ミツケダシテヤルゾ」 男も廃屋に入りながら捜して回る。 「これからどうする!?」 月倉が誰にともなく言い、神谷が言う。 「何とかしてこの状況を確かめないとな。 一旦陽が昇るのを待とう。今闇雲に動き回るのは危険だ」 月倉たちが話していると・・・ 女が月倉たちが隠れている廃屋に入って来て、月倉たちが息を殺して身構える。 女が軋む廊下を歩いて居間の前を通って台所に入って行き、神谷が猟銃を握り締めながら化け物の足音に耳を澄ます。 女が踵を返して行き、襖を開ける。 神谷が銃を構えて引き金を引き、弾が発射されて女の胸を撃ち抜く。 「アアッ!」 女が倒れて、月倉たちが後ろに下がりながら女を凝視する。 女が笑いながら起き上がってきて、度肝を抜かれる月倉たち。 「イタイジャナイ ナニスルノヨ」 胸から黒い血を流しながら女が立ち上がり、神谷が顔を狙ってもう一発撃ち放つ。 顔面撃ち抜かれた女が倒れて、神谷たちが脅えながら見つめる。 女は動かなくなり、酒田が怖れながら言う。 「殺ったのか・・?」 「ああ 多分な・・」 神谷が見据えながら言い、撃たれても平然と立ち上がってきた化け物に如月と天羽が恐怖する。 「グアッハハハハハ」 鎌男が月倉たちがいる廃屋に走り入って来て、神谷たちが顔を上げて身構える。 鎌男が現れて、神谷がまたブッ放す。 「グアッ」 首を撃ち抜かれた鎌男が倒れて、喉から大量の黒い血が噴き出す。 鎌男が血で詰まったくぐもった異様声で喘ぎながら起き上がろうとしてきて、神谷が引き金を引く。 カチッ 弾切れて、立ち上がって笑う鎌男に天羽と如月が悲鳴をあげる。 「ウアアアア!」 男が鎌を振り翳しながら天羽たちに迫って、酒田が傍にあった花瓶を投げつける。 顔に当たった鎌男が蹌踉めき、神谷が銃身で頭を殴りつけて、鎌男が呻きながら倒れる。 神谷が銃身を執拗に何度も頭に振り下ろしまくり、頭蓋が割れて黒い血とミソが散乱する。 神谷が息を切らしながら猟銃を放り捨てて、言う。 「他にもいたら銃声に寄り集まってくるかもしれない。移動しよう」 リーダーシップを発揮する神谷に月倉たちが付き従って行く。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!