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取材は順調だけど
女性向け食に関する雑誌『DISH』で
新しくオープンするイタリアン レストラン
レストラン・テ『ricordo 』の取材を続ける
華音と先輩の三井。
今日は、『OKADOU』本社にて
進とアイアンの写真撮影のための
打ち合わせが予定されている。
廊下を歩く進とアイアン。
「ったく・・何で、たかが俺らの写真
撮るために、こんな打ち合わせが
必要なんだよ」
ブツブツと文句を言い気が乗らないアイアン。
「まぁ、そんなこと言うなよ。
これも、俺たちの『ricordo 』
開店のためだ。我慢してくれ」
「イタリアの雑誌だって、
陽気に話ちょろちょろって
聞いて、写真をパシャパシャ撮って
はい!終了~って感じだったぞ」
と口を尖らすアイアン。
「それは、お国柄の違いだ。
おまえもわかってるだろ? そんなこと」
「わかってるけどさ・・」
「ほら、スマイル! スマイル!
笑えよ・・」と進が言った。
二人は、『DISH』編集部内にある
打ち合わせ室のドアを開けた。
いつものように華音と三井が待っていた。
「では、早速ですが、明日お二人の写真を
お店『ricordo 』の中で撮影します。
それに伴いまして・・」
とややこしい段取りの説明が始まった。
「はぁ~」っと溜息を漏らすアイアン。
ガッ! とアイアンの足を踏む進、
「あてっ・・進何すんだよ・・痛て~な~」
と進の顔を見るアイアン。
「おまえ、真面目にしろ! 真面目に・・」
と耳元で囁く進。
「どうかされましたか?」
と三井が二人に聞いた。
「いえ・・何でもないですよ。ははは」
と苦笑いする進とアイアン。
「あの・・明日の撮影の内容のことなんですが
オーナーとシェフの二人のツーショットの
写真と、あと・・
ホール担当者とか決まってたら、
その方も入れたりして、
いくつかのパターンで撮らせて
いただきたいのですが」
と華音が言った。
暫く考え込んだ進であったが、
「わかりました。ホール担当者ね・・」
と返答した。
打ち合わせを終わらせ、部屋からアイアンと進が出て来た。
「ん? 何だ?」
と周囲の異変を感じるアイアン、
「あれ?」と驚く進。
二人がドアを開けると、
そこには『DISH』編集部のお姉様方と、
華音の同期の宮本里美、そして、
『女性に大人気のファッション雑誌』
『STARS』の編集部の女性たちが
アイアンと進を取り囲んだ。
「えっと・・これは?」
と動揺す進の腕をアイアンが握ると、
「はい、はい、ごめんなさいね~」と
人混みをかき分けるように二人は
編集部から出て行った。
打ち合わせ室から出て来た華音に、
駆け寄る里美。
「ちょっと~華音、
何、あのイケメン男子は・・」
と華音に詰め寄る。
「イケメン男子って?」
「うちの編集部の後輩がさ、
すごいイケメン二人が、何故か『DISH』
編集部に入って行ったって騒ぐからさ、
見て見たら、まぁ・・切れ長の目に
短髪の塩系と、甘いマスクの大人の
包容力あります系。何なのよ・・」と興味津々の里美。
「あの二人は・・今度、うちが特集組む
レストランのオーナーとシェフ。
明日の写真撮影のための打ち合わせで
来たのよ・・」
「明日の写真撮影?何処で撮るの?」
と里美が聞いた。
「彼らの店でだけど」と華音が言った。
「ふ~ん・・」と言うと彼女は、後輩に
声をかけると自分たちの編集部に帰って行った。
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