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第7章 『Brown』(前編)
Chapter 7『Brown』
Act I
scene i
7月7日 11:10
場所は栗川高等学校、二年二組の教室。三時間目の授業が終わり、僅かな中休み時間に生徒達はわいわい元気に騒いでいる。慌てて次の授業の宿題を済ます者、持ち込んだ漫画を開く者、早弁をする者など様々だ。
今朝購入したと言う某声優雑誌を開き、大好きな声優について熱弁を広げる睡蓮の机の周りには、彼女の親友の檸檬を始め、結英・咲月・れんげ・華夜・利亜(と吉祥寺)のいつものメンバーが集まっている。
(※因みにこの時代にまだ『推し』という定義は存在しない為、『大好き』『大ファン』などで十分通じるのだ)
「でね、今度秋からの新番組で主役の声勤める事になったんだよこの人! 私の大プッシュしてる声優さん!! みんなも見てねマジ見てね!!」
「巨匠良かったねぇ~♪絶対見るよぉ!」
「あれ、でも睡蓮この前まで別の声優さんのファンじゃなかった?」
「いいのいいの! 好きな人は多い方がいい!!」
「おはよー……」
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