13人が本棚に入れています
本棚に追加
ある日の放課後、2人が揃って会いに来た。
「何?」
「陽貴…話が」
譲の分かりやす過ぎる表情に言葉を遮る様に俺は言う。
笑顔で言おうと決めていた。
「やっとくっついたのかよ?遅ぇんだよ‼︎」
「陽貴、あの時ぶったりしてごめんね。私も陽貴と同じだったのに…」
『そんなに好きじゃなかったのかも』
思わぬところで失恋の追い打ちを喰らった。
気を抜いたら途端に泣き出しそうなくらい、まだ俺は杏の事を好きなんだと思い知る。
本当はずっと好きだっただなんて、今更言っても仕方ない。
今出来る最大限の笑顔で見送ってやる。
「まぁ、なる様になったって感じだな‼︎」
「一緒に帰ろう?」
俺は、ふと目を伏せた譲の不安そうな顔を見逃せなかった。
杏ってマジで鈍感なやつだよな…。
「…そういうのは、もうやめようぜ」
最初のコメントを投稿しよう!