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「そうなんだ。初耳だよ」
「まりなちゃんのお母さんは現実主義だからね。もちろんどちらが正しい生き方なのかわからないわよ。でも、おばあちゃんはまりなちゃんには夢を諦めないでほしいと思っているわ」
おばあちゃんはそう言ってわたしの目を真っ直ぐ見た。
『諦めないでほしい』それはわたしが言ってもらいたかった言葉だ。
そうなのだ。小説の原稿用紙をごみ箱に捨てたけれど、本当は諦めたくなかった。わたしは書くことが好きなのだから。
誰かに書いてもいいよと言ってもらいたかったのかもしれない。
それにわたしはあの子と約束したから。とそこまで考えたところでふと思った。
あの子とは誰?
その時、ペロペロキャンディーを舐めている女の子と目が合った。
わたしはこの女の子をよく知っている。だって、それは。
「あなたは、りまなちゃん?」
わたしは気がつくとそう言っていた。
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