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「やっと、思い出してくれたんだね。そうだよ。わたしはりまな」
りまなはペロペロキャンディーを舐めながらニンマリと笑った。
「りまなちゃんはわたしが書いた小説の主人公だよね?」
そう、わたしがごみ箱に捨てた小説の主人公だ。ペロペロキャンディーをいつも舐めているわたしが考えたちょっと変わったキャラだ。
「あはは、まりなちゃんってば自分で書いた小説のキャラを忘れるなんてね」
りまなは可笑しそうにきゃははと笑う。
「だって、わたし才能がないから諦めようかなと思ったの。そしたら小説の主人公も内容も全部忘れていたんだよ」
「でも、諦めたくないんでしょう?」
「うん、諦めたくない」とわたしは素直に答えた。
それと以前にもこんなことがあった。あの時は小説を途中まで書いたけれど自信をなくした。もう書くのをやめてしまおうかなと本気で思った。
すると、小説のキャラのりまながわたしの目の前にやって来て「わたしを最後まで書いて」とペロペロキャンディーを舐めながら言った。
本当は書き上げたいと言う気持ちを思い出し、「頑張ってもう一度小説を書くね。りまなちゃんを書くね」と約束した。
わたしは最後まで書いた。苦しかったけれど、楽しかった。もう夢中になり続編も書いた。小学生だったりまなは中学生になった。けれど、お母さんにその小説を読まれ否定された。
大好きなことを貶されて傷ついた。
「まりなちゃん、小説を書いて。お母さんに何を言われてもいいじゃない。まりなちゃんの気持ちが一番大切だと思うよ」
りまなの大きな澄んだ目がわたしをじっと見つめている。
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