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そう答えはじめからわかっている。わたしは小説を書くことが何より大好きなんだもん。
「わたし、りまなちゃんを書くよ。今度こそ投げ出したりしないからね」
わたしは拳を強く握りしめた。
「ありがとう。まりなちゃん。わたしを書いてね。どんなわたしになるか楽しみにしているよ」
りまなは満面の笑みを浮かべた。
「まりなちゃん、誰と話しているの?」
おばあちゃんが首を傾げ不思議そうにわたしを見ていた。
「わたしの小説のキャラとだよ」
「え? 小説のキャラ?」おばあちゃんは目を丸くする。
「あ、えっと、ちょっと小説のアイデアを考えていたんだよ」
わたしは頭をぽりぽり掻きえへへと笑った。
そんなわたしを見ておばあちゃんは柔らかい笑みを浮かべた。
りまなも両手を口に当てうふふと笑っている。
「りまなちゃん、これからもよろしくね。わたしりまなちゃんを書くね。好きことを続けるね」
「まりなちゃん、こちらこそよろしくね。とびっきり可愛いわたしを書いてね」
りまなはペロペロキャンディーを舐めながら左手を差し出した。
わたしはその手を握り返した。りまなの手はあたたかかった。
そして、気がつくといつの間にかりまなの姿は消えていた。
だけど、大丈夫だ。今度は小説の中で会えるからね。りまなこれからもよろしくね。
「完」
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