17人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
電車の窓に映る自分の顔がちょっと疲れているなと思った。でも、おばあちゃんに会うときっと元気になるはずだ。
改札を抜けて少し歩くと商店街が見えてきた。懐かしい匂いがぷーんとしてきた。
「おばあちゃん、突然遊びに行ったらびっくりするかな?」と声に出して言ってみる。
それとも「あら、久しぶり」と言って迎え入れてくれるかな? そんなことを考えながらわたしは懐かしき道を歩いた。
公園も神社も潰れてしまったシャッターの下りた駄菓子屋もその全部がわたしの心を切なくもあたたかく包んでくれた。まるで、おかえりなさいと言ってくれているかのように。
そして、おばあちゃんの縁側がある二階建ての家が見えてきた。
わたしは、呼び鈴の前に立ち手を伸ばした。ピンポーンとチャイムを鳴らしながら「わたし、まりなだよ~」と呼びかけた。
すると、パタパタと玄関に向かってくる元気な足音が聞こえてきたかと思うとガラガラと玄関の引き戸が開いた。
「まりなちゃんなの?」
おばあちゃんの元気な声と優しさが滲む顔を久しぶりに見ることができた。
「おばあちゃん、久しぶり」
わたしは笑顔で挨拶をした。
玄関に足を踏み入れるとおばあちゃんの家の匂いがした。
「まりなちゃん久しぶり。来てくれて嬉しいよ」
おばあちゃんは柔らかい笑みを浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!