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部屋の中もおばあちゃんの家の匂いがした。昔の家独特の匂いなのかわからないけれど、ほっと落ち着く。
ああ、帰ってきたって気持ちになるのだ。
「来るって言ってくれてたらおばあちゃん豪華な料理を作ったんだけどね」
「突然来たんだから気を使わないでね。わたしおばあちゃんのご飯なんでも大好きだもん」
「それだったら良かったわ。ありがとう。あ、まりなちゃんスイカでも切るから座っててね」
おばあちゃんはやっぱりほわほわほっこりな微笑みを浮かべパタパタと台所へ向かった。
わたしは、素足でペタペタと歩き縁側に腰を掛ける。吊されている風鈴がチリンチリンと鳴り、ああ、夏だなと感じる。
ふと、空を見上げると空が青くて雲がふわふわと綿菓子みたいで可愛らしい。
「うふふ、やっぱり夏はおばあちゃんの家が一番だな~」
わたしは声に出して言った。
すると、その時。
「やっぱりおばあちゃんの家っていいよね」
女の子の声が聞こえてきた。
「えっ? 誰かな?」
わたしはキョロキョロと辺りを見渡した。
「うふふ、まりなちゃん久しぶりだね。わたしだよ」
その声と共にペロペロキャンディーを舐めながら肩まである黒髪を揺らし中学生くらいの女の子がこちらに向かって歩いてきた。
「あなたは誰?」
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