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女の子の大きな目がわたしをじっと見ている。大人のわたしに中学生の知り合いなんていない。誰かとわたしを見間違えているのだろうか?
「まりなちゃん、またわたしのことを忘れたの?」
でもこの女の子はわたしのことをまりなちゃんと呼んでいる。だけど、知らない子だ。
「あの、わたしと誰かを見間違えているんじゃないかな? それと、一言言わせてもらうけどあなた不法侵入だよ」
「まりなちゃんってば酷いこと言うんだから」
女の子はそう言いながらわたしの隣にちょこんと座った。
「ちょっとどうして勝手に座るのよ」
わたしは視線を女の子に向けてちょっと強めの口調で言った。よく見るとどこかで見たことがあるような気がしてきた。
「まりなちゃんにわたしのことを思い出してもらいたいな」
女の子はペロペロキャンディーを舐めながらこちらを向いた。
やっぱり知らない子だ。けれどなんだか懐かしさを感じた。この子は一体誰なのだろうか?
わたしは思わず女の子をじっと眺めてしまった。女の子も視線を逸らさずわたしを見ている。
ねえ、あなたは誰ですか? わたしは何か大切なことを忘れている気がしてきた。
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